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上海初開催のサマソニ&邦楽勢も充実のフジロック、2017年の傾向と注目アクトは?

7/8(土) 17:00配信

リアルサウンド

 7月に入り、各夏フェスのラインナップが出揃い始め、どのフェスに足を運ぶか悩む音楽ファンも多い。国内外のアーティストたちが一堂に会する二大フェス『SUMMER SONIC 2017』(以下:サマソニ)、『FUJI ROCK FESTIVAL '17』(以下:フジロック)も全ラインナップが出揃い、開催を目前に控えている。両フェスの今年の傾向や注目アクトについて、第1弾発表時にも当サイトにコメントを寄せた(参考:http://realsound.jp/2017/02/post-11423.html)日本のフェス事情に詳しい音楽ジャーナリストの柴 那典氏に話を聞いた。

「サマソニの東京1日目にはカルヴィン・ハリスに加えて、活動休止を経て久々の来日となるBLACK EYED PEASが決まりました。どんなパフォーマンスを見せてくれるのかは楽しみですね。ただ、もう一組、現行のメインストリームのポップシーンを象徴するような勢いあるアクトが欲しかったな、という印象です。東京2日目のMARINE STAGEには、ヘッドライナーのFoo Fightersに加え、セカンドヘッドライナーはBABYMETAL。さらに過去にフジロックでFoo FightersとコラボしたMAN WITH A MISSIONという日本のアーティストが並んでいる。良い組み合わせだと思います。BABYMETALはサマソニが成長させたと言っても過言ではなく、彼女たちをセカンドヘッドライナーとしたのは、サマソニとBABYMETALが歩んできたここ数年の集大成。おそらくBABYMETALはいずれサマソニのトリを飾る時が来るでしょう。この日のMARINE STAGEのラインナップは、Royal BloodやAll Time Lowなど“ロックの日”と呼べるもので、SONIC STAGEのパンク勢も含めて、コンセプチュアルでとてもサマソニらしいメンツになっていると思います」

 1日目はカルヴィン・ハリスはじめDJ・ダンス系のアクトに加え、UVERworld、堂本剛などロック・ポップス系のアクトの双方を楽しめ、2日目は王道とも言えるロックアーティストを中心としたラインナップになっている。さらに柴氏は、先日タイムテーブルが発表されたフジロックのラインナップについては、以下のように期待を寄せる。

「多くの人が目玉と捉えているのは、2日目のCorneliusと小沢健二だと思います。Corneliusは11年ぶり、小沢健二はシングルとしては19年ぶりに新作を出していて、どちらも90年代や渋谷系のリバイバルではなく、現在進行形のポップミュージックを開拓している。この日はくるりやMONDO GROSSO、never young beachなども出演予定で、邦楽リスナーにとってはたまらないラインナップでしょう。洋楽勢は第1弾で発表されたビョークとAPHEX TWINに加え、今年新作を出したGorillazがヘッドライナーに決まった。他にもThe xx、ロード、Major Lazerなど、クオリティの高い新作を出しているアーティストが出演するということで、現行の英米のオルタナティブな音楽シーンの流れをきちんと反映したラインナップだと思います。またYUKIやRADWIMPSなど今まで出ていなかったもののフジロックにハマりそうな邦楽アーティストも出演するということで、今年はサマソニに比べるとより邦楽に寄った印象があります」

 洋邦共に現在のシーンを追うリスナーが満足できるラインナップとなっている今年のフジロック。邦楽勢をさらに充実させることで、サマソニとの差別化が図られているとも言えるだろう。続けて柴氏は両フェスの注目アクトについても教えてくれた。

「サマソニの邦楽勢では、1日目のSuchmosや欅坂46。Suchmosは去年フジロックのWHITE STAGEに出演しましたが、そこからさらに状況が変わっています。欅坂46は『坂道シリーズ』としては初のロックフェスへの出演。過去にももいろクローバーZ、TOKIOが初出演した時のような、ある種の事件性を持ったパフォーマンスの可能性に期待しています。洋楽勢のニューカマーでは、日本での本格的なライブが初となるデクラン・マッケンナや、日本語を混じえて歌うロンドンのKero Kero Bonitoに注目です。2日目に出演するSuchmosと音楽的に近い韓国のHYUKOHや、同じく2日目のカナダ・日本・台湾在住のメンバーからなるエレクトロポップバンドMiliなど、今年は面白い多国籍バンドが多いです。フジロックで期待しているのは今年新作を出したR&Bシンガー/プロデューサーのサンファ。カニエ・ウェストやドレイクにフィーチャリングされ、The xxとも去年12月に共演した天性の声の持ち主です。新人ではアメリカの女性シンガーソングライターのマギー・ロジャースや、昨年デビューした若手デュオ・The Lemon Twigsも注目です。The Lemon Twigsはサイケデリックミュージックの新しい方法論を展開していて、日本だとシンリズムなどにも影響を与えています」

 王道のロックバンドに加え、他のフェスにはない多国籍バンドを観られるというのは中国やシンガポールなど、アジア圏のバンドをフックアップするISLAND STAGEに力を入れて来たサマソニならではだろう。一方フジロックもビッグネームだけではなく、現在のシーンにも目配りし、今観るべきアーティストが揃っている。最後に柴氏は、今年の夏フェスはそれぞれが大きな動きを見せていると指摘した。

「これからのサマソニは“日本のサマソニ”から、“アジアのサマソニ”になる。今年初の上海開催はその第一歩だと思います。アジアとパッケージングすることで、日本に招聘できる海外アーティストなども変わってくるので、サマソニブランドがアジアに広がることはとても大きな意味を持ってくる。また独自の発展を遂げて来た日本の音楽を、これまでのK-POPなどとは異なる形で海外展開する足がかりになる可能性も持っているでしょう。一方、フジロックは去年、一昨年くらいから邦楽勢のラインナップが充実しはじめ、今年もコアな音楽ファンが喜ぶメンツを洋邦共に揃えています。特に今年はB'zやゆず、ポルノグラフィティなど“ロックフェス”のイメージがないアーティストがROCK IN JAPAN FESTIVALに出ることによって、フジロックとROCK IN JAPANの邦楽アーティストの棲み分けがさらに進んだように思います」

 今や夏フェスはコアな音楽好きだけのものではなく、誰もが気軽に楽しめる夏の風物詩の一つ。若手からベテランまで、充実のラインナップが揃う各フェスに足を運び、それぞれの違いや変化を肌で感じたい。

村上夏菜

最終更新:7/8(土) 17:00
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