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22歳寝たきりの詩人が紡ぐ「生きている証拠」

7/8(土) 8:00配信

東洋経済オンライン

体の自由がほとんど利かず、話すこともできない――そんな状態で、わずかに動かせる指先とペンを用いて「筆談」で詩を紡ぎ続ける女性がいます。
堀江菜穂子さん、22歳。出産時のトラブルから重度の脳性マヒと診断され、生まれてからずっとベッドで寝たきりの生活を送ってきました。周囲の人の多くから「この子には意思がない」「言葉が理解できない」と思われているように感じてきたなか、特別支援学校の中学部の頃に出合った筆談を通じ、初めて自らの「意思」を言葉にして表現するようになりました。

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同じ学校の生徒が突然の死を迎えるのを目の当たりにするなど、昔から生と死を意識してきた彼女が「心をかいほうするためのしゅだん」として書いた詩は、これまで約2000編に上ります。
「こんなわたしでも いきていることをわかってもらうことが なやんでいる人のなにかのたすけになるのではないか」
初の本格詩集『いきていてこそ』のなかから、代表的な3作品を紹介します。

 <詩人・谷川俊太郎氏も称賛した一編>

■はたちのひに

 はたちのひ わたしはいきていた

 うまれたときに おもいしょうがいをおってしまい

 わたしは はたちまでいきられないだろうといわれていた

 そんなわたしを りょうしんは

 ふびんさと もうしわけなさをもって

 たくさんのあいじょうをそそいでくれた

 このいえで ゆいいつのひとりむすめは

 かぞくみんなからあいされて せいちょうした 

 おおきくなるにつれ 

 じぶんが 人とはちがうことにきがつきはじめた 

 ほかのこどもたちが

 あたりまえにできていることが

 じぶんにはなにひとつ できなかったからだ


 わたしは じぶんとかぞくをうらんだ

 どうして じぶんばかりが

 こんなからだなのだろう

 そればかりおもっていた

 わたしの心はそのことでいっぱいになり

 そしてちゅうがくせいのころ

 ばらばらにくだけた

 わたしの心に なん人ものわたしがうまれた

 わたしのじんかくは

 わたしだけのものでなくなってしまった

 わたしであってわたしでない

 とてもこんらんするまいにちがつづいた

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