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「正義」はなぜ弱者を叩くのか? 現代にはびこる「正義」の正体は…

7/8(土) 18:00配信

ダ・ヴィンチニュース

 残酷な事件や不景気が続く中、「正義」を声高に叫ぶ人が増えている。政治家や芸能人、犯罪者からネットユーザーにいたるまで自らの正義を疑わず、他者を攻撃する風潮が蔓延しているのだ。誰もが加害者にも被害者にもなりうる、息苦しい時代が訪れているといえる。

 そんな時代の背景を『「正義」がゆがめられる時代』(片田珠美/NHK出版)は明らかにしていく。精神科医としての立場から他者に不寛容な態度を示す人々の要因を探ってきた著者は、本書でも膨大な参考文献をもとにして、現代にはびこる「正義」の正体に迫る。粗探しをするのもされるのも疲れたなら、本書から物の見方を変えるヒントをもらうのがおすすめだ。

 2016年は激動の年だったという書き出しから本書は始まる。中でも、ドナルド・トランプの大統領選挙当選や、相模原市の障害者施設で起こった大量殺人事件など「正義」をふりかざして他者を攻撃する現象が目立った。そして、著者は少なからず「攻撃する側」に賛同する意見があふれたことにショックを受ける。世間を騒がせたニュースを分析しながら著者は、日本社会で「正義」の概念がゆがめられていると気づく。もはや正義というよりも、不正者を貶めたいという「懲罰欲求」や「復讐願望」に変貌している可能性を指摘するのだ。

 たとえば、今もなおワイドショーを賑わせている芸能人の不倫報道の数々である。確かに不倫は罰せられるべき行為だが、それは当事者間の問題であって第三者がこれほどまでにバッシングを浴びせ、罰を望む必要があるのだろうか。

 また、小田原市の生活保護課担当者たちが「保護なめんな(HOGO NAMENNA)」とプリントされたジャンパーを着用し、生活保護受給者の家を訪問していたことも明らかになった。生活保護の不正受給者への警告だろうと思われる。そして、ジャンパーの背面には英語で「われわれは正義」と書かれていたという。しかし、生活保護申請者のうち、確認されている不正受給者は0.3~0.5%程度に過ぎないという調査もある。99%を超える正当な生活保護受給者は、ジャンパーの文字を読んだときに恐怖を感じたのではないか。

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