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ネスレはなぜ“短編映画”に注力? 著名監督も起用

7/8(土) 7:00配信

日経トレンディネット

 「ネットフリックス」「Amazonプライム・ビデオ」「AbemaTV」などの配信サービスから広告まで、ネットの世界で動画コンテンツの存在感が増している。そんななか、ネット上でオリジナルのショートフィルムを配信し続けているのがネスレ日本だ。同社は2010年に消費者コミュニケーションサイト「ネスレアミューズ」を開設し、商品ブランドサイトや通販サイトに加え、豊富な動画コンテンツをそろえるなど、独自の取り組みを推進してきた。

【関連画像】「ネスレシアター」は著名映画監督のショートフィルムなどを無料で提供

 そのなかで、ショートフィルムなどを無料で提供しているのが「ネスレシアター」。2013年11月、ネスレ日本の創業100周年をきっかけに、ネスレアミューズのコンテンツサイトとしてスタート。『踊る大捜査線』で有名な本広克行監督やニールズ・トムセン監督など、著名映画監督が手がけたショートフィルムがそろっている。

 なぜ同社はショートフィルムに力を入れるのか。その狙いをネスレ日本の石橋昌文CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)に聞いた。

●15秒CMではできないブランド体験をユーザーに提供

――ネスレシアターではなぜショートフィルムに特化したのか?

石橋: 15秒のCMは新商品などの告知には最適なメディア。しかし、ネスカフェもキットカットも、その存在は全国にほぼ知れ渡っている。こうしたブランドでテレビCMを打っても、売り上げに大きな貢献は期待できない。ロングセラー商品はトライアルではなく、リピート率を高めることが重要。継続的な利用を促進するためには、単なるCMではなく、ブランドのロイヤルティーを高めることに重きを置きたかった。ネスレブランドのメッセージや価値、 世界観といったコンセプトを生かしたショートフィルムで、15秒ではできないブランド体験をユーザーにしてもらうのが目的。といっても、作品にネスカフェやキットカットはほとんど出てこない。もちろん、ショートフィルム上で商品のプロモーションもしない。「コーヒーをおいしそうに飲んでほしい」ということくらいは伝えるが、基本的には監督に一任している。

 ショートフィルムの累計視聴数は3300万回を突破している。映画や書籍で100万という数字をクリアするのはかなり厳しいが、無料の動画だとそれほど厳しいハードルではない。コンセプトを広く訴求するには最適なメディアだと考えている。

 1本10~20分程度のため、ちょっとひと息する合間に、いつでもどこでも無料で閲覧できる手軽さも魅力。さらにYouTube自体がグローバルツールなので、海外にブランドのイメージやコンセプトを分かりやすく伝えるのにも適している。テレビCMと制作費自体はそれほど差異はないが、媒体費用がかかるテレビCMに比べてYouTubeは無料なので、コストもテレビCMに比べると大幅に削減できる。

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