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角居勝彦調教師が競馬の展開を語る 「逃げ馬がペース作る」

7/9(日) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 レースがスローになるかハイペースになるか、「展開」のカギは逃げ馬が握っている。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、「展開」について解説する。

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 先頭に立った馬、つまり逃げ馬のペースで競馬の流れが決まる。逃げ馬がレース序盤の主役です。ハナを切るメリットは多い。マイペースで先頭を走れば、馬は気分がいいはずです。馬の本能、肉食動物の猛追から逃げるという欲求も満たされ、襲われる心配はありません。そして内ラチに沿って最短距離を走ることができる。ダート戦では砂をかぶる心配もない。なにやら良いことずくめに思えます。

 これで絶対的なスピードを持っていれば、他の馬はどうやっても敵わない。かつてのサイレンススズカがそういう馬でしたが、スタートからゴールまで主役を演じ切るのは容易ではありません。

 逃げ馬が1頭いると、後続は折り合いがつきやすい。「今日は、このくらいのペースか」と他の鞍上は判断する。他力でペースができあがり、馬は余計な力を使わずに済みます。しかもレース中盤以降、逃げ馬は後続から目標にされる損な役回りです。おまけに同じような馬がいると、ハナを争って共倒れになってしまうことになる。

 逃げ馬は調教で作るものではなく、自然とできてしまう。スタートが上手で、前に行ける馬が、ゲートを出た直後に抑えきれなくなる場合。ジョッキーはそのまま行かせてハナを切る。そのパターンのレースが続けば、逃げ馬のできあがりです。

 なにやら気ままでわがままなスタイルですが、レースをこなす中で逃げ馬も進化します。ハナを切ってから後から追い上げがくるまでは、気ままに飛ばすことを我慢してペースを守って走る。やがて後続が迫ってくるとギアを変える。そのことを学習するわけです。だから前走の内容が悪くても、「次はうまく逃げれば期待できる」といったコメントが陣営から出てくるのです。

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