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気持ちで掴んだ勝ち点1。森保なきサンフレッチェ広島の小さな一歩

7/10(月) 7:50配信

webスポルティーバ

「親を亡くした感じですね」

 森保一監督の退任について問われたMF青山敏弘は、ショッキングな表現でその心境を言い表した。

【写真】広島に起きていた転落の真因とは?

 2012年から指揮を執り、3度のJ1優勝をもたらした名将は、サンフレッチェ広島一筋でプレーしてきた青山にとって、なくてはならない存在だった。森保監督は青山を信頼し続け、2014年からはキャプテンの役割も託している。青山もこの指揮官のもとで成長を遂げ、2014年のブラジル・ワールドカップ出場、そして2015年にはJリーグMVPを受賞するまでに至った。

 現役時代はボランチとしてならした森保監督と、現在の広島で不動のボランチを担う青山。ふたりの間には、他者にはうかがい知れないほどの強い絆があった。

 青山だけではない。ほかの選手たちも、無念の言葉を吐露している。DF水本裕貴は「サンフレッチェというクラブをもうひとつ上のランクに引き上げてくれた。僕自身もたくさんのことを学ばせてもらった監督だった」と神妙に語り、MF柏好文は「僕自身、森保さんに声をかけていただいてこのチームにいられている。そういう意味では精神的なショックは大きい」と肩を落とした。

 そこには、監督がいなくなったことによる寂寥(せきりょう)感だけがあるのではない。結果を出せずに監督を追いやってしまったという自責の念も、同時に滲む。それでも、結果を出せない監督がその立場を失うことは、プロの世界の掟(おきて)である以上、いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。気持ちを切り替え、次の一歩を踏み出せるかどうか。7月8日に行なわれた横浜F・マリノスとの一戦は、広島にとってそういう戦いだった。

 森保監督の辞任が発表されたのは、7月4日のこと。そこからの4日間、暫定的に指揮を執ることとなった横内昭展ヘッドコーチのもと、広島は“闘う“姿勢を取り戻す作業に注力した。

「週の初めのほうはかなりショックもありましたけど、横さん(横内ヘッドコーチ)がいい雰囲気を作ってくれた。俺らベテランにも『お前らがやらなければいけないんだ』と喝を入れてくれたし、若い選手や試合に出てない選手に対しても、緊張感を与えてくれた。そうやってチームみんなで乗り越えようという意識を強く持ち、この試合に臨めたのは大きかったと思います」

 チームリーダーのDF千葉和彦は、そう振り返る。ともすれば崩壊しかねない状況だったチームは、監督退任のショックを振り払い、5連勝と好調の横浜FMに立ち向かっていった。

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