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SB国際会議2017デトロイト ハイライト(5)

7/10(月) 20:56配信

オルタナ

ファッション業界とグッド・ライフ

このセッションでは、「ファッション業界を再デザインする」をテーマに、どうサステナブルな取り組みを実践し、ファッション業界が抱える社会的課題をどうビジネスチャンスにしていくかが話し合われた。(編集・翻訳=小松 遥香:オルタナ/Sustainable Brands Japan)

サプライチェーン上には多くのビジネスチャンスがある。ファッション業界は、生産から輸送、不動産から廃棄物の管理までさまざまな産業が関わり成立している。同業界は、2.5兆ドル規模で世界人口のうち約1.5億人が日々働いており、サプライチェーンで働く人の8割は女性だ。

世界の二酸化炭素排出量の1割はファッション業界から出されており、世界の産業廃水排出量の2割も同業界が占めている。さらに、製品のライフサイクルの最終段階で、85%の繊維は廃棄され、その総量は年間210億トンに及ぶと言われる。

今回のモデレーターは、グラスゴー・カレドニアン大学(GCU)フェアファッションセンターのフランク・ザンブレリ専務理事。その他の登壇者は、同大学の創設者のカラ・スミス氏とカルバンクラインやトミーヒルフィガーなどを所有するアパレル企業ピーヴィーエイチの最高リスク管理責任者(CRO)であるメラニー・ステイナー氏だった。

GCUフェアファッションセンターが考える「グッド・ライフ」とは、全ての企業が経済的利益を追求しながらも環境に配慮し、社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)とエシカルなビジネスを行っていくことに主体的に取り組むことである。

ステイナーCROは、サプライチェーンと世界2500カ所の工場で排出される二酸化炭素の排出量を削減するという同社の環境目標と戦略について話した。カルバンクラインなどの有名ファッションブランドを所有する同社では毎月、CSR担当者が集まって定例会議を開催し、パッケージや人権に関する課題、衣類の製造過程で川などに排出される化学物質の問題などについて話し合いを行っているという。

同社は現在、そうした報告会の形式にとどまらず、CSR担当者をブランド価値を高める重要な存在として育てることで、消費者にブランドをより深く知って貰い、信頼して貰う機会にしたいと考えている。またPVHは、公正労働協会(FLA)やサステナブルアパレル連合、オーガニックコットンの普及を進めるテキスタイルエクスチェンジなど、ファッション業界においてサステナブルな変化を生み出そうとしている組織の会員にもなっている。

ステイナーCROは、「PVHはようやく今、サステナビリティを判断基準にして、ビジネスの意思決定を行う段階に入った。サプライチェーンや最低賃金などの課題を含む50のリサーチプロジェクトが進行している」と話した。

スミス氏は、「大きくても小さくても変化を生むことが大切で、そうすることで既存のビジネスを見直し、打開していける。ただそのためには、担当者が深い知識を持つ必要がある」と話した。

GCUフェアファッションセンターは、NGOと企業がファッション業界の課題を解決するために協働する際の支援も行っている。ビジネスの視点とNGOの視点は異なることも多く、共通言語を持たないため、双方だけではお互いの主張を理解し合えないこともあるからだ。

「環境負荷が発生するところに廃棄物や無駄があり、廃棄物や無駄が発生するところで利益の損失が起きる」とスミス氏は語る。彼女はブルームバーグと協働で、各社の幹部に対して、廃棄物や無駄がどこで発生しているか調べるために全社的取り組みが重要であることを伝える取り組みをしている。サステナブルな企業は効率的に運営され、株価も高いと証明されている。企業は社会を良くしたいと考えるものの、時間がかかるのが普通で、一夜でそうなることはない。

GCUは責任ある経営教育原則(PRME)イニシアティブに署名し、国連グローバルコンパクトに参加したスコットランドの最初の大学だ。スミス氏は最後に、「この会場にいる人や企業は、人類が最善を尽くして創造力を発揮しイノベーションを行うことで、ビジネスの在り方も世界も変えられると強い信念を持っていると思う。今日、そういうみなさんの中で話すことができて光栄だ」と締めくくった。

「サステナブル・ブランド ジャパン」より転載

最終更新:7/10(月) 20:56
オルタナ

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