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【東海大・駅伝戦記】館澤が1500m優勝。このスピードを箱根で使う

7/10(月) 11:46配信

webスポルティーバ

◆東海大・駅伝戦記 第2回


 思わず腰が浮いたデッドヒートだった。

 残り200m、館澤亨次(2年)が一気に前に出た。このラストスパートのために力をためていたかのようにグングンとスピードを上げる。遠藤日向(住友電工)の力強い足音が聞こえ、スタジアム内のスクリーンで背後にいるのを確認した。

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――負けられない。

 気持ちを振り絞って走る館澤は、さらに加速。そのまま逆に差を広げてゴールラインを駆け抜けた。タイムは、3分49秒73。平凡だが、この大会は勝つことに意味がある。小さな花束をもらい、満面の笑みがこぼれる。1年時からの練習が実を結んだ素晴らしい勝利だった。

 日本陸上界のトップを決める日本選手権の1500mには、東海大学から4名の選手がエントリーしていた。

 第1組予選には關颯人(せき・はやと/2年)、阪口竜平(2年)、予選2組に館澤、3組に木村理来(りく/2年)。各組上位3名プラス、タイム上位3名が決勝(6月24日)に進出できる。
予選で強さを見せたのは、木村だった。

 3分42秒20で予選全組中トップ通過を果たし、さらに自己ベストを記録、2006年に佐藤大樹が記録した東海大学記録を更新した。個人学生選手権(6月9日~11日/平塚)の1500mでも2位になり、好調を維持しているようで決勝での走りにも期待が膨らんだ。注目された關は予選6位に終わり、予選突破はならなかった。

「全日本大学駅伝の予選会から中4日でしたけど、思ったよりも疲れが足に残っていなくて1万mやって1500mも走れるんだっていうところを見せたかったんですけど、詰めの甘さが出てしまって……。悔しいですね」

 このレース前の關は予選会のために長距離を走り、ほとんどスピード練習をすることができなかった。「決勝」を目標に走ったが、あと一歩及ばなかった。

 個人学生選手権5000mで優勝し、1500mでも5位だった阪口は10位に終わり、残念ながら決勝に進むことができなかった。

 館澤は予選2組で、トップ通過を果たした。しかし、レース内容にはまったく満足できなかったという。

「予選のレースはまったく理想的ではなかったです。雰囲気に飲まれてしまい、焦ってしまって……。その夜、自分のレースの反省をして、3組全部のレースの動画を見て、さらに1位になった選手の走り方を見て、研究しました。1500mは誰にも譲りたくないですし、自分がエースだと思っています。日本一になるのは夢じゃないと思っていますので、決勝ではこういうレースをしようというイメージを作っていました」

 そして、男子1500m決勝が始まった。

 序盤からスローペースの展開になり、最初の400mは1分08秒だった。そのペースにも動じず、館澤は3番手の位置をキープしている。すると、800m手前で木村がスっと前に出てペースを上げ、スローな展開を打ち破った。

「両角先生に800m過ぎたら。前に出てみろって言われたので仕掛けました」

 狙い通り自らが先頭に立ち、レースを引っ張った。館澤は木村のおかげでペースが上がり、「ラッキー」と思っていたという。

 ラスト1周の鐘が鳴った。

 木村が懸命に先頭を走り、その座を譲らない。その後ろを館澤がついていく。バックストレートに入り、残り200mになった。館澤が一気に木村を抜き去り、スピードを上げていく。ターボチャージがかかったようなスピードだ。ラスト200mに絶対的な自信を持つ男に、他の選手は追いつくだけのスピードも余力も残っていなかった。

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