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シンプル、ミニマル、ノンシャラン──ルメール 2018年春夏コレクション

7/10(月) 16:10配信

GQ JAPAN

夏はさっぱり、すっきりが最高だ。

ゆったりしたハイネックのグレーシャツ、深い股上の濃いグレーのパンツ。その次は、ポケットさへ見えない超シンプルなブルゾンと、すんなりした同色のパンツ。続いて、涼しげなライトグレーのシャツに、やはりディテールの見えない(無い?)グレーのパンツ…。

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とにかくシンプル、すっきりしたコレクションに、会場一同は、ほっとする。なにしろ当日、パリの日中平均気温は、35度を越えている。暑い夏は、着るのも見るのも、こういう「さっぱり」しているのがいいね!

「これはスーパー・ミニマルなんだ」と、デザイナー、クリストフ・ルメール自身も語る。イメージソースは『クラフトワーク』。70s~80sに活躍したドイツのプログレッシブバンドで、独特の電子音を聞けば「ああ、これか」と誰でもわかる。彼らの大ヒット『THE ROBOTS』では、メンバー全員がシンプルな赤いシャツと黒のタィ、そしてグレーのパンツをはいて、ロボットのようなダンス(?)を見せる。

すなわち、ルメールにとって、服と音楽の融合は、あたりまえのこと。94年に初のメンズショーを行った時も、会場には生バンドがいたし、今回もベルリンから招いたプログレバンドが、ランウェイを盛り上げた。では、ルメールはドイツ好き?しかし、彼はパリメンズでも珍しい、フランス人デザイナーなのである。

彼のシンプルとは、ただの機械的なものでは全くない。フランス人ならではの微妙なニュアンスが、その底に備わっている。ルメールは2006年までの4年間、あの『ラコステ』のアーティスティック・ディレクターを勤めたが、シンプルなスポーツウエアを、みごとにおしゃれに(しかも極シンプルに!)デザイン。当時は筆者もたくさん購入し、今も着ている物があるくらい。ユニクロとのコラボが成功し続いているのも、当然だろうとうなずける。

今回は、とくにパンツが優秀だ。体につかず離れずのストレートなライン。やや深めの股上、の一見ノーマルなパンツが、歩くと揺れるさまが美しい。ソフトな素材使いが多いためでもあるが、たいていはカッティングの妙のなせる技だ。

後半、暗いインクのようなブルーグレーのグラデーションのスタイリングが登場するが、パンツはペグトップで、どことなく袴ふう。そんな、やや東洋調デザインが増えたのは、最近サラ・リン・トランという、東洋系の女性デザインパートナーがいるためか。

そういえばシャツも、胴着を思わせるシルエットが多く、トレンチコートまでがローウエストのベルトで、なんとなくキモノ風に見えてくる。ノンシャランなパリ、厳格なドイツロック、そして神秘的な東洋の融合服は、トレンドに左右されることのない、一生ものである。

Chiyumi Hioki

最終更新:7/10(月) 16:10
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