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プロ9年目で掴んだ主力の座。元日本代表の山田直輝が今ようやく湘南で輝き始めたワケ

7/10(月) 6:30配信

SOCCER DIGEST Web

山田直輝ほど期待されながら、不遇なサッカー人生を送ってきた選手はいないかもしれない。

「65パーセントくらいかな。でも充実感はあります」
 
 7月2日の日曜日。湘南ベルマーレの練習場・馬入ふれあい公園サッカー場。炎天下でのトレーニングを終えた山田直輝がピッチ脇に置かれたベンチに座り、シーズン開幕からここまでを、そう振り返った。
 
 運動量を武器に、小さい身体でピッチを縦横無尽に走り回り、スルーパスで相手の守備を崩したかと思えば、時折強烈なシュートを放ってスタジアムを沸かせている。
 
 我々が見たかった山田直輝のプレーがようやく陽の目を見ている。
 
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 山田直輝ほど期待されながら、不遇なサッカー人生を送ってきた選手はいないかもしれない。
 
 2008年、浦和レッズユース在籍中にトップ登録。翌09年にトップチームに昇格し、その年に日本代表に初招集。将来の浦和レッズ、将来の日本代表の中心と嘱望されたが、10年には2度にわたる右腓骨骨折。さらに12年には左膝前十字じん帯損傷の大怪我を負い、このほかにも小さな怪我を繰り返した。
 
 怪我さえなければ活躍できる、周囲はそう思った。しかしゼリコ・ペトロヴィッチ監督(11年)、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(12年~現在)には、戦術上の理由からほとんど起用されなかった。
 
 15年に湘南ベルマーレに期限付き移籍。1年目は17試合、2年目の16年は11試合に出場したが、ほとんどが途中出場だった。
 
 しかし、今季は22節終了時(7月9日現在)で、20試合に出場。前年、前々年の出場数をすでに越え、今年は出場した試合はすべて先発出場している。
 
 怪我と不運に泣かされた山田が今、勇躍しているのだ。

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「自分自身にベクトルを向けている」プレーへの意識が大きく変化。

 山田はなぜ、今年になり、試合に出続けているのか。
 
 今年になって初めて取り組んだことがある。そのひとつが食事管理だ。食べたものの画像を毎回、栄養士に送り、練習・試合の日程とコンディションに合わせて、「何を食べれば良いのか」アドバイスを受け、実践している。
 
 また、これまで練習開始前の1時間以上前にクラブハウスに入り、身体を動かし、準備していたが、今年は、その時間がより早くなり、練習後のケアの時間が長くなったそうだ。
 
「今まで試合に出ても、2、3試合出て、すぐに怪我をしていた。でも、今は多少、無理をしても筋肉が悲鳴を上げなくなった」と、取り組みの効果を実感している。
 
 そして、もうひとつ。プレーへの意識の変化だ。
 
 この意識の変化を、山田は「自分自身にベクトルを向けている」と説明している。それは、今までのプレー観が180度変わったことを意味している。
 
 これまでの自身のプレーについて、山田本人はこう振り返る。
 
「オレにボールをもっと出せ」
「オレに合わせろ」
「周りにもっとこうしてほしい」
「もっとこうすれば、ミスなく、うまくできるのに……」
 自分にボールを預けてくれれば、状況は打開できる、そう思いながら、プレーしていた。
 
 しかし、湘南ベルマーレに加入し、その意識は徐々に変わっていった。
 
「湘南は全員で攻撃して全員で守るサッカー。自分勝手な選手がひとりでもいると、チームの和が崩れる。うまくハマる時は良い意味で自分勝手なプレーでも良いけど、チームがうまくいかない時は、特に守備で貢献することを意識している。また良い時は使いやすいけど、悪い時、ダメな時こそ、チームのためにプレーできる選手のほうが監督は使いやすいと思う」
 
“自分自身にベクトルを向けている”
 
 それはわがままで自分勝手なプレーではなく、チームの状況を考え、試合の流れに合わせたプレーに徹することだ。
 
「湘南に来て1年目から曺さん(曺貴裁監督)からずっと言われてきたけど……、曺さんもきっと『あいつ、使いづれぇな』って思っていたでしょうね」

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最終更新:7/10(月) 7:06
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