ここから本文です

奨学金延滞率公表に教職員が猛抗議したワケ

7/10(月) 9:00配信

東洋経済オンライン

 以前からその内容に注目が集まっていた、学校別の奨学金延滞率データ。結局、独立行政法人である日本学生支援機構が公表したのは2017年4月19日だった。

 日本学生支援機構には、文部科学省から中期目標が与えられている。これを基に作成された第3期中期計画の中では、延滞率の公表について「大学等が確実かつ効果的に奨学生に対する指導を行うため等の情報提供の一環として適切に行う」とされていた。

 実はこのデータは、2016年の段階では同年夏頃の公開が予定されていたが、ここまで延びてしまった。

■給付型奨学金の制度作りを優先していた

 その理由について、文部科学省学生・留学課は、「3月までは給付型奨学金の法案を通すために集中していた。学生、保護者などに周知する必要もあったため、そちらを最優先にしていた」という。日本学生支援機構の遠藤勝裕理事長も「このタイミングで延滞率の問題を持ち出すと議論が錯綜する可能性もあった。給付型奨学金の法案成立や所得連動型返還制度が始まって制度的安定が実現し、ようやく延滞率の公表に踏み切ることができた」と話す。

内容は、「過去5年間の貸与終了者に占める各年度末時点で3カ月以上延滞している者の比率」などのデータ。大学だけでなく、短期大学、高等専門学校、専門学校についても延滞率を公表したのだが、このデータの公開形式は、個別学校ごとのシート形式だった。同シートを見るだけでも、平均値からの乖離を知ることはできるが、学校間で比較することは困難だ。

そこで、東洋経済は公表された全データを集約。これまでに4年制大学、高等専門学校、短期大学について延滞率が高い順にランキング化して記事を掲載した。

 今回の延滞率データについては各大学にそれぞれ事前に提供済みだった。そのため、公表されたこと自体について、「大学の経営体からの反応は特になかった」(日本学生支援機構)という。

 ところが、公表自体が誤りであると抗議してきた団体もあった。私立大学への公的助成や私立大学教職員の待遇改善などを目的とした労働組合の連合体である、日本私立大学教職員組合連合(以下、私大教連)だ。

私大教連は5月2日付で「日本学生支援機構による各大学の『奨学金延滞率』の公開に強く抗議する」と題した書面を公開。日本学生支援機構を直接訪問して真意を問いただしたという。

1/3ページ