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ユーロドルは長期の上昇トレンドに入るのか

7/10(月) 5:00配信

東洋経済オンライン

■ECBの緩和バイアス修正とドラギ総裁のタカ派的発言

 ユーロは対ドルで年初来8%上昇。2015年8月の高値1ユーロ=1.1714ドルを起点とした下落トレンドチャネル(下落トレンドの平行ライン)の上限(7月6日時点では1.1470ドル付近)を試す勢いとなっている。テクニカル上は、この水準を突破すれば、2年間かけて形成された下落トレンドから長期的な上昇トレンドに転換したサインとなる。

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 ユーロ高の背景として、(1)ユーロ圏の景気回復、(2)ECB(欧州中央銀行)の金融政策スタンスの変化、(3)ドイツの閣僚によるユーロ高誘導発言、などが挙げられる。

 ユーロ圏は特にドイツの景気回復が目覚ましい。ZEW景況感指数は今年に入ってから加速度的に改善し、昨年12月の63.5から、6月には88まで上昇している。Ifo企業景況感指数も昨年2月の105.8から右肩上がりで、6月は115.1と前回のピーク2010年12月の114.4を上回っている。

(注)ZEW景況感指数:民間調査会社ZEWが機関投資家を対象とする聞き取り調査を基に算出する景気先行指数で、50を超えると好況とされる。Ifo企業景況感指数:Ifo経済研究所が7000の企業に業況についてアンケート調査を行って作成する指数で、2005年の平均=100としている。

 こうした中、ECBの金融政策スタンスにも変化が見られる。ECBは6月8日の理事会で金融政策を据え置いたが、声明文の「緩和バイアス」を変更した。

 具体的には、前回(3月)までの「政策金利が長期にわたって現在の水準ないしそれ以下の水準に維持されると予想する」との文言を「政策金利が長期にわたって現在の水準に維持されると予想する」に変えた。つまり、「それ以下の水準」という、追加緩和の可能性を示す文言を削除したのである。

 さらに6月27日には、ドラギ総裁が「数年前よりもインフレ率の目標への回帰について自信を持てる」「デフレ圧力はリフレ圧力に取って代わられた」などと発言。将来のインフレ見通しに対して自信を示した。

■米国トランプ政権への牽制も

 これらに加えて注目したいのは、ドイツの閣僚による為替に関する発言だ。メルケル首相は5月22日、ベルリンでの学校訪問の際、「ユーロは弱すぎる。ECBの政策が原因だ。これによってドイツ製品が相対的に安くなっている。したがって、ドイツ製品はよく売れている。ではどうしたらよいかといえば、われわれにできるのは国内の投資を増やすことだ」などと語った。

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