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金融庁、新規制で「危ない地銀」をあぶり出し

7/10(月) 6:00配信

東洋経済オンライン

 7月で在任3期目に突入した金融庁の森信親長官。金融改革に辣腕を振るって注目されてきたが、その総仕上げとして、新たな監督手法を導入する。実質的なターゲットは地方銀行だ。

【グラフ】地銀の金利リスクが高まっている

 従来の形式的なモニタリング手法を見直し、新たな指標によるチェックや地銀との踏み込んだ対話を通じて早期に「危ない地銀」をあぶり出すというもの。2019年3月期から採用し、問題のある地銀には、ビジネスモデルの変更や他行との再編を迫っていく考えだ。

 手始めに金利リスクの監視で新手法を導入する。

 資金需要の低迷で融資競争が激しいうえ、日本銀行の異次元金融緩和により、国債金利は10年債がゼロ近傍、中短期債はマイナスに沈没。地銀の預金運用は厳しい環境にある。

■保有国債の長期化により金利リスクが膨張

 地銀の持つ円貨の有価証券(主に国債)の金利リスク(金利変動による価格変動のリスク)は、膨張が止まらない。

 多少なりともプラスの金利収入が見込める20年物や40年物など、預金の期間に見合わない超長期の国債にまで運用を広げたため、金利リスクが高まった。満期までの残存期間(デュレーション)が長い債券ほど、金利上昇時の価格下落率は大きくなるからだ。

 大手銀行は、国債を減らしほかの金融資産や海外への融資に大規模に運用をシフトさせて金利リスクを抑制しており、地銀とは一線を画す。


 地銀もより金利の取れる米国債など外国債券の運用を増やしたが、昨年11月からのドル金利上昇では保有する米国債の価格下落に見舞われた。外債の金利リスクも当然、監督の対象だ。

 新たな監督手法ではまず、金利リスク量の計測方法が昨年4月にバーゼル銀行監督委員会で国際合意されたものに変更される。従来は過去5年間の金利変動を基に計測していたが、近年は低金利の長期化で金利変動が小さく、リスクが過小評価されるおそれがあった。

■金利上昇を先取りシミュレーション

 新たな手法では将来の金利上昇を先取り。円でプラスマイナス1%、米ドルやユーロで同2%などの幅を持つ六つの金利変動シナリオに基づき、金利リスク量を計測する。金利リスク量とは銀行のバランスシート全体に金利変動によって生じうる含み損のことだが、これが自己資本の20%(メガバンクなど国際基準行は15%)を超えると、金融庁の審査対象となる。これがモニタリングの第1段階だ。

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