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“愛くるしい”オリックス・山崎福也 プロ初完封を機に左のエースへ

7/11(火) 11:10配信

週刊ベースボールONLINE

 覚悟を感じる138球だった。7月10日の日本ハム戦(京セラドーム)。初回こそ安打と四球で無死一、二塁のピンチを招くなどリズムを欠いた投球も、2回以降はストライク先行の投球に。6回には3者連続空振り三振を奪うなど、先発・山崎福也が最後までマウンドを守り抜き、プロ初完封を飾った。

「腕を振ることを頭に入れていた。中盤以降、自分らしいピッチングができたと思う。これを続けていきたい」

 “即戦力”と評価され、明大からドラフト1位で入団した2015年から“左のエース”の期待は寄せられたが、3年目の今季も先発ローテに定着できず。キャンプから紅白戦、オープン戦とテストにテストを重ねられ、開幕一軍をつかむも中継ぎでの起用に。今季初先発は5月20日の日本ハム戦(札幌ドーム)で、2度目の先発となった同26日のロッテ戦(ZOZOマリン)では2回2/3 4失点でノックアウト。試合中に1人帰阪を命じられる屈辱も味わった。そんな中でのプロ初完封だっただけに喜びはひとしおだったに違いない。

「二軍に1カ月ぐらいいたので、その悔しさをぶつける。その思いでマウンドに上がりました」

 最大の武器は曲がり幅の異なる2種類のカーブ。長身左腕から繰り出すその様は、現投手コーチの星野伸之と通じる点でもある。今春キャンプで、その星野コーチに山崎評を聞いてみると、返ってきたのは「確かにカーブはいいね。ただね……、アイツはポワーンとしているから(笑)。天然ちゃんだから、会話にならないことがあるんだよ」と、気が付けば笑い話に……。

 そんな“愛くるしいキャラクター”は、会話を交わせば感じ取れる。『マンガ』を話題に雑談を交わしていると「僕はワンピースが好きです! でも1巻も持っていません。最新巻って何巻ですか? 僕の中では途中で止まっていて……、今どこまで話が進んでいるんですかね? でも、好きなんですよ!」と天然ぶりを発揮。それでも、野球の話しになれば「先発へのこだわりは強いんです。『オリックスの左腕といえば山崎』、『左のエース』と言われる投手になりたいし、ならないといけない」と表情を一変させていた。

 少し話が逸れたが……、そんな“愛くるしい”左腕も、冒頭の試合では8回の投球を終えてベンチに引き揚げると福良淳一監督に「ボールがヘロヘロだけど(9回も)行けるか?」と声をかけられながらも「大丈夫です。行けます。行かしてください」と続投を志願。強い意志を示しての初完封だった。

 ただ、11安打11得点と打線の援護にも恵まれ、余裕を持てたのも事実。競った場面で好投してこそ、掲げる“左のエース”へと近づく。次回登板は球宴後の予定。まずは揺るがぬ信頼を勝ち取りたい。“愛くるしく”そして“たくましく”──。試合後のヒーローインタビューでは“らしさ”全開で発した。

「今日だけは遠慮しないで発言します(笑)」

「残りの試合も、先発として勝ち星を挙げてチームに貢献していきたい」

 背番号17がエースの階段を上っていくことをベンチもファンも期待している。

文=鶴田成秀 写真=早浪章弘

週刊ベースボール

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