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米露首脳会談、進展見られず

7/11(火) 18:11配信

Japan In-depth

【まとめ】 ・米露首脳会談、露による大統領選介入問題で平行線。 ・中国習近平主席も訪欧、米に対抗する為ロシアに接近するなど独自外交を展開。 ・イラク、モースルがISから解放さる。が、混成「解放軍」の統治の行方を懸念。

先週7月7日にようやく米露首脳会談が開かれたが、結果は散々だったようだ。G20首脳会議の際、ハンブルグで2時間以上会談したというが、露大統領は8日の記者会見で、「米側は露による米大統領選挙介入問題を何度も提起したが、露側は否定し、米大統領も露側の主張を受け入れ同意したと思う」と述べた。

勿論、ホワイトハウスはこれを強く否定。更に、9日早朝に米大統領はツイッター投稿で、露大統領とサイバーセキュリティー対策の組織創設に向け議論したと述べた。さすがにこれには共和党内からも批判が相次ぎ、米大統領は投稿から数時間後に「同組織の実現は不可能」と再ツイートしたそうだ。

まだある。米大統領の実の息子が、昨年の大統領選挙中、ヒラリー・クリントン候補に不利な情報を約束され、露政府と関係があるロシア人弁護士と会談していたという。トランプ氏の息子は、会談自体は認めたものの、大統領選とは無関係だったとコメントしたそうだ。

それにしても、トランプ氏の頭の中は、一体どうなっているのだろう。こうして事実関係を纏めているだけでも、吐き気がしてくる。やはり「終わりの始まり」を感じざるを得ないのだが・・。本人は気にしていないのか、それとも、何も打つ手がなく手詰まりなのか、どちらかだろう。先が思いやられる。

〇欧州・ロシア

先週は中国国家主席の一連の欧州訪問後、7-8日にG20会合があったが、そこで大向こうを唸らせるような成果があった訳ではない。それでは失敗だったかというと、とんでもない。中国の外交は一貫している。米国と対抗するためならロシアとも組む。米EU関係を分断するため欧州、特にドイツを重視する。

中国の国家主席にロシア大統領やドイツ首相のような国際感覚があるとは到底思えないが、中国には民主主義と自由なメディアがない分、リアル・ポリティックスに集中できる政治環境がある。ここが、現代日本との最大の違いだ。日本の国会では今も●●学園の話ばかり。時間が惜しい気もしないではない。

〇東アジア・大洋州

10日から、日米印3カ国による合同海上軍事演習「マラバール」がインド洋ベンガル湾で実施される。日本からは護衛艦「いずも」が参加する予定で、日米印の連携を示し、中国を牽制する狙いがあると報じられた。10日から湾内訓練、14日からはインド東方海域で対潜水艦戦訓練などを行う。

インド洋で日米印がこの種の活動を始めて久しく、戦略的な意味合いも大きい。しかし、インドは亜大陸国家、日米のような海洋国家ではない。彼らはインド洋で中国艦船がうろつき回ることは断固拒否するだろうが、ニューデリーが対中牽制に使われることも拒否する。これがインドの非同盟主義なのか。

〇中東・アフリカ

イラクのアバディ首相がイラク北部モースルに入城、作戦が順調に進んでいることをアピールしたいのだろう。イスラム国の侵入から三年、当時は米軍の最新装備で武装したイラク正規軍があろうことか敵前逃亡し、モースルは大量の軍事物資とともにイスラム国の手に落ちた。ようやく返ってきたということだ。

しかし、これで全てが元へ戻る訳ではない。内政上気になるのは、モースル「解放軍」がスンニー主体の正規軍、イランが支援するシーア派ミリシアとクルド・ペシュメルガの混成部隊であることだ。モースルにクルド部隊とシーア派ミリシアが同時に入るのは歴史上なかったこと。むしろ今後の方が心配だ。

〇南北アメリカ

今週、米国務長官がトルコとクウェートを訪問するが、大変結構なことだ。今の中東湾地域でややこしいのはカタルの動き。だが、カタル人は誇り高い人々だから、一筋縄ではいかない。このカタルと同様、独自の動きをしているのがトルコであり、ある意味でクウェートだ。国務長官はこの湾岸の微妙な国際関係を理解する必要がある。

〇インド亜大陸

日米印海軍合同演習については既に触れた。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

最終更新:7/11(火) 19:37
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