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消費税10%断念に向け早くも地ならし --- 中村 仁

7/11(火) 16:00配信

アゴラ

財政規律の放棄の火の手

思わず耳を疑いました。自民党当選2回の議員30人が財政再建目標の放棄、消費税10%への引き上げ凍結、教育国債の創設など盛り込んだ提言をまとめるという動きです。財政規律の放棄を若手議員が勝手に提唱できるはずはありません。官邸の誰かが裏で糸を引いているに違いありません。

「安倍1強政権」だからこそ財政再建に果敢に取り組むのかなと思っていましたら、その逆でしたね。ノーベル経済学賞のシムズ教授の経済理論が急に日本で紹介されだした年初あたりから、財政規律を緩める地ならしが始まりました。「消費者物価上昇率が2%に達するまで消費税の引き上げを見送る」、「インフレによって政府債務を軽減する」、「そのことを政府は宣言し、インフレ心理を高める」などが政策面の骨子でしょうか。

複雑な動きで決まる経済現象を単純化したモデルで考え、基本的な構造をつかむという点では、経済理論の効用があります。問題は日銀の黒田総裁が「いろいろな前提をおかないと、出てこない話」と距離を置いているように、経済現象を考える上での模型みたいなものです。現実の世界にそのまま当てはめても、理論通りの結果を期待できません。

シムズ理論という伏兵

いくつかの疑問点を列挙しましょう。「物価2%上昇の実現に何年かかるか不明。その間、財政膨張、消費税凍結が続くと、財政赤字さらに積み上がる」、「かりに2%上昇を達成し、政府債務をインフレ効果で削減し、目標を達成したとしても、そこからまた財政赤字の拡大が始まる」、「最も重要なのは、歳出の合理化、効率化と消費税の引き上げなどの増収策であり、これなくして財政再建は不可能」、などなどです。

さらにこの理論が紹介され始めてから、「財政規律の放棄に悪用される」、「財政膨張の口実に使われる」との警告が高まり始めました。精緻な経済理論も政治家の手にかかると、都合のいいように使われる、つまみ食いされるという好例です。特に、再選が危うい若手議員は、財政出動を選挙対策に使いたいのです。

政府はもっと巧妙で、6月に決めた経済財政政策の基本方針(骨太の方針)で、財政再建目標を難しい表現を使って変えてしまいました。公債残高の金額の削減(基礎的財政収支の黒字化)よりも、国内総生産(GDP)比率の引き下げを重視する方向に転換しました。

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最終更新:7/11(火) 16:00
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