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【蹴球日本を考える】浦和に善戦した新潟。小石を積み上げるようなゲーム作りは実を結ぶか?

7/11(火) 11:30配信

SOCCER DIGEST Web

ちょっとした積み重ねが生きて前半は新潟が主導権を握った。

 負けてしまっては意味がないかもしれないが、浦和戦の新潟はなかなかいい試合をしたと思う。
 
 浦和とのJ1対戦成績は1勝5分け22敗。
 これだけ負け越している相手から勝点を取ろうと思ったら、まずは動きの少ないゲームをしなければならない。自分のいいところを出す以前に、敵のいいところをしっかりと抑え込むということ。そうした呂比須監督の狙いが、随所に感じられたからだ。
 
 ちょっといいなと思ったのが、GK守田のプレーだ。
 このカードでは、浦和が攻めて新潟が守る展開になる。つまりGKがシュートストップだけでなく、スローやゴールキックなどボールに触れる機会が多くなる。こういう時、守田は可能な限りキックやスローを遅らせ、時間を稼いだ。
 
 時間稼ぎだけではない。ゴールキックはほとんど右サイドのタッチライン付近に蹴った。これは攻撃につなぐというより、守りを考えてのことだろう。
 
 中央に蹴るとヘディングでクリアされて、そのままカウンターを受けるリスクが高い。だがタッチライン付近に蹴ると、攻撃につながらなくてもラインを割る可能性が高く、カウンターを食らうリスクを抑えられるからだ。
 
 こうしたちょっとした積み重ねが生きて、前半は新潟が主導権を握った。立ち上がりは少し不安定だったが、徐々に守りのリズムが出てくると攻撃にもリズムが出始め、35分に浦和のCKをカウンターで切り返し、先制点を奪う。
 
 残念ながら後半、前に出てきた浦和の圧力に耐えきれず、新潟は逆転を許した。この時期は内容よりも結果だが、それでもやろうとしていることができているというのは、悪いことではないと思う。
 
 守田とともに、目についた選手をもうひとり挙げたい。それは背番号10のチアゴ・ガリャルドだ。
 
 後半開始直後、チアゴはとてもいいプレーを見せた。
 浦和が攻め込むなか、自陣深くで後ろ向きにボールを受け、森脇を背中で抑え込みながらターン。そのままドリブルで中盤を駆け上がり、包囲網を狭める敵5人を一本のパスで切り裂いた。
 敵が押し込んできたなかで、こんなプレーができる選手はそうはいない。
 
 残念なのは、こうしたビッグプレーをさらに膨らませてくれる味方がいないということだ。チアゴのスルーパスを受けた矢野は雑なクロスを放り込み、ボールはあっさりゴールラインを割ってしまった。
 
 浦和戦では7割方押し込まれていたので、チアゴは自陣でのプレーを強いられた。こういう選手が守りに奔走しなければならないのが、新潟のつらいところ。小さな小石を積み上げるような新潟のゲーム作りが、実を結ぶ時は来るだろうか。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)

最終更新:7/11(火) 11:30
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