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業界じゃない 伸びる会社の見つけ方(藤野英人)

7/12(水) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 私の仕事はファンドマネジャーです。個別企業の株式を売買しながらお客さんから預かった資金を増やしていく仕事です。5年くらい前に、母から改めて仕事の内容を尋ねられたことがあります。それで詳しく説明したら「ああ、思い出したことがある」といわれました。
 それは私が5、6歳の頃の話でした。当時は繁華街のそばに住んでおり、家の前では常時、露天商のおじさんがたこ焼きを焼いていました。私は、幼稚園から帰るといつも窓からたこ焼き屋さんをじっと見ていて、お客さんの数を数えていたそうです。そして、家での食事のときには「今日はたこ焼き屋さん、お客さんが多かったよ」とニコニコしていたり、「今日は少なかった」と暗い顔をしたりしていたそうです。
 あるときは母と外出して、たこ焼き屋のおじさんにインタビューをしたといいます。私が「おじさん、たこ焼き焼いて、もうかるんかい?」と聞くと、おじさんは「ああ、もうかるよ、坊や」と答えたそうです。当時、母は非常に驚いたそうです。どうしてこの子はそんなことに興味があるのか、と。冒頭の話に戻ると、母は笑いながら私にいいました。「つまり、今もそういうことをしているんだね」

■新しい取り組みで領域を拡大

 確かに私の今の仕事は、いろいろな会社に行ってインタビューをして、経営陣や事業内容を調査したり、経済動向を見たりしながら、個別企業への投資を実行しています。母は子供の頃と変わらないといっていましたが、私自身、そんなことは覚えていませんでした。そういう意味では今の仕事は「天職」なのかもしれません。
 実際に何が天職かなんてわかりません。もし人生を何回か繰り返すことができれば、いろいろな仕事にトライして、最も適した職業を選択することができるのでしょうが、残念ながらそんなことはできません。天職と思える職業に巡り合った私はラッキーだったのでしょう。
 この仕事をしているとさまざまな社長さんにお会いします。その人生もさまざまです。ではなぜその職業に就くことになったかといえば、「たまたま行き着いた」という人が多いような気がします。
 もちろん、本人に合った職業だったからこそ会社を発展させたり、株式上場させたりすることができたのでしょう。しかし、それ以上に「置かれた場所で咲く」というか、「今いる場所を一生懸命に生きる」ことによって、道を切り開いたという人が多いと感じます。
 成功している経営者は、業種を選ぶというより、いかなる業種でも新しい取り組みをして、違う切り口で領域を拡大しているかどうかに違いがあります。つまり、場所以上に、そこで工夫し、楽しみ、新しい価値を見いだしているか、ということです。
 その行動によって自分の仕事がとても魅力的な仕事となり、結果的に天職のような感覚になっているのではないかと思うのです。本人としてはあたかも「神様から与えられた幸福」のように感じていても、それは本人がつくり出した部分が大きいのではないでしょうか。
 そういえば、たこ焼き屋さんでも株式上場をしている会社が出てきています。「築地銀だこ」をチェーン展開するホットランドという会社です。付加価値が低いとされる業種でも、独自の切り口があれば上場までいけるということです。

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最終更新:7/12(水) 7:47
NIKKEI STYLE

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