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【調香師】消臭・防臭ばかりじゃ味気ない。香りを創り、香りで人と社会を幸せにするスペシャリストとは

7/12(水) 7:30配信

日本の人事部

クールビズが始まって1ヵ月、今年も“匂い”が気になる季節がやってきた。「スメハラ」「香害」「コスメティックバイオレンス」――匂いを巡るトラブルが社会問題になりつつあるが、一方で世の中にはさまざまな「いい香り」や「おいしそうな匂い」も溢れている。その多くは「調香師」のなせる業だ。常人の数十倍も鋭敏な嗅覚を持ち、五感の中で最も強く本能に作用する香りで、生活のあらゆる場面を彩る“白衣のクリエイター”である

2社に1社は“スメハラあり”!? なぜ社会は匂いに敏感になったのか

2015年にダイヤモンド・オンラインが企業の人事・総務担当者などを中心に実施した調査によると、「あなたの会社に“スメハラ”はありますか」との問いに対し、全体の49%、ほぼ2社に1社が「ある」と回答、そのうち約1割は「実際に総務部や人事部に苦情が寄せられている」と答えている。

スメハラとは、「スメルハラスメント」の略で、体臭や口臭、強すぎる香水など、自分が発する匂い(Smell)を原因として周囲に迷惑や不快感を与えることを指す言葉だ。別の調査によると、この言葉を知っている人の割合は14年時点で20.1%だったが、17年には45.8%に拡大、スメハラの認知度は3年間で2倍以上に高まった。他にも、周囲を顧みずに香水や化粧品、柔軟剤などの香りを過剰にまき散らすことを指す「香害」や「コスメティックバイオレンス」といった造語が広がるなど、職場や電車内といった公共の場での匂いをめぐるトラブルが近年、にわかに社会問題になりつつある。

理由の一つは、女性の社会進出だ。日本の企業社会は長く男性優位で、職場や電車内に充満する汗臭さやタバコの匂いを気にする人は少なかった。人の嗅覚は順応性が高く、同じ匂いを嗅ぎ続けていると慣れてしまうため、自分では自分が発する匂いに気づきにくいからである。しかし男女平等が進み、職場に女性が増えたことにより、それらが気になり、耐えられないという人も増えていった。実際、職場での匂いに関するクレームのほとんどは女性からのものだという。

スメハラに悩む人が増える一方で、アロマテラピーなど心地よい香りに癒やしを求める志向も強まっている。多様化する身の回りの匂いに対し、社会全体がそれだけ敏感に、デリケートになっているということだろう。当然、さまざまな商品の売れ行きも香り一つで大きく変わってくる。そこで重要になるのが「調香師」の仕事だ。調香師とは、数千種にもおよぶ香料素材を調合して新しい香りを生み出すスペシャリストで、扱う分野によって二つの職種に分かれる。

香水をはじめ化粧品や芳香剤、トイレタリーなどに用いるフレグランス(香粧品香料)を調香する「パフューマー」と、食品や飲料、酒、たばこ、歯磨き剤など口に入るものに使うフレーバー(食品香料)を創る「フレーバリスト」の2種類だ。

前者は、クライアントや商品開発サイドの要望に沿って調香したり、すでにある香りを再現したりするだけでなく、かつてないオリジナリティーに富んだフレグランスの創作を求められることも少なくない。白衣の研究職でありながら、「香りの芸術家」と呼ばれるゆえんである。パフューマーというと、やはり香水をつくるイメージが強いが、欧米ほど香水文化が普及していない日本国内では、そうした仕事の機会はきわめて限られているのが現状だ。

後者は、香りで食欲をそそったり、加工食品にリアルな風味を再現したり、「いかに口の中でおいしく感じさせるか」を目的として香料素材を分析し、組み合わせていく。扱うものがきわめて多岐にわたるうえ、フレーバーが使われる飲料やインスタント食品、菓子などの嗜好には流行が敏感に反映されるので、フレーバリストはいち早くトレンドをつかみ、香りに対する世の中のニーズに適確に応えていかなければならない。

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最終更新:7/12(水) 7:30
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