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トヨタはAI界のカリスマ ギル・プラット博士に何を託すのか!?

7/12(水) 12:11配信

GQ JAPAN

トヨタ自動車がAI研究・開発のためシリコンバレーに設立した新会社TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)のCEOとして元DARPA( 米国防高等研究計画局)のギル・プラット氏を招聘。その思惑がどこにあるのかを探るべく、モータージャーナリストの清水和夫がトヨタ自動車名古屋本社を訪ね、プラット氏招聘を担当したトヨタ専務で先進技術開発カンパニー・プレジデントの伊勢清貴氏に話をうかがった。

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■熱心な理由は交通事故死傷者ゼロ

究極的にはショーファー(お抱え運転手)だけれど、それまではガーディアンエンジェル(守護天使)─。

トヨタの描く自動運転の未来像は洒落たニュアンスながら、トヨタらしい堅実さをも兼ね備えている。昨今、自動運転のマーケティングでは、世間の耳目を集めようとする派手なパフォーマンスばかりが目に付くが、良識なき喧伝は社会悪だ。市場のミスリードは許されるものではない。トヨタのこの分野におけるマーケティング姿勢は何とも実直だ。シリコンバレーにAI(人工知能)の新会社「TRI(Toyota Research Institute)」を設立して注目を集めたものの、今にも無人走行を実現できるかのようなニュースは決して流れてこない。トヨタは「自動運転」という言葉を極めて慎重に使っているのだ。それゆえ、クルマに詳しくない人はトヨタが自動運転分野で遅れているというイメージを抱くかもしれない。しかし実際にはどの企業よりも熱心に研究開発を進めている。

トヨタが自動運転に取り組む理由は明白だ。交通事故死傷者をゼロにするということ。環境性能を高めてゼロエミッションを目指すのと同じく、クルマのマイナス面をいかになくすかという挑戦である。

2015年夏、トヨタの先進技術開発カンパニーを率いる伊勢清貴専務を筆頭に、当該技術の研究開発に携わる数名の幹部が集まって、豊田章男社長のもとを訪れた。「社長に『高度運転支援という呼び名に変えませんか?』と提案したのです。社長からは『自動運転=無人運転を想起させることは避けたい』と言われました。我々は『無人運転ではなく、人間が主でシステムがそれに従う、互いが補完し合うものを目指しています』と伝えました。たとえ技術的に完全自動運転の領域に達した後も、人間が主であることを強調したんです」

業界内では、章男社長は自動運転が嫌いなのではないかと噂されていた。だがそうではなく、人間をないがしろにすることのないよう慎重な姿勢をとっていただけのようだ。

この時、伊勢専務が章男社長に語った人間中心のコンセプトが、トヨタが現在掲げる「モビリティ・チームメイト・コンセプト」である。人とクルマが同じ目的で、ある時は見守り、ある時は助け合う、気持ちが通ったパートナーのような関係を築くトヨタ独自の自動運転の考え方だ。

余談だが、この時に章男社長は「ニュルブルクリンク(ドイツにある世界一長く過酷なサーキット)で私よりも速く走ることができる自動運転車両を開発したら、あなたたちの技術を認めるよ」と笑いながら言ったそうだ。いかにも運転好きな章男社長らしいエピソードではないか。

この時、伊勢専務らはのちにTRIのCEOに就任するギル・プラット氏を章男社長に引き合わせた。ギル氏は米国DARPA(国防高等研究計画局)のプログラム・マネージャーとして、ロボットプロジェクトなどを指揮してきたAI界のカリスマだ。

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最終更新:7/12(水) 12:11
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