ここから本文です

【英国人の視点】広島、監督交代で浮上なるか。極度の不振からの脱却へ。新指揮官が植えつけるべき自信

7/12(水) 11:29配信

フットボールチャンネル

 7月3日付で森保一前監督が退任したことを発表したサンフレッチェ広島。森保監督は就任から5年間で3度のリーグ制覇を成し遂げていたものの、2017シーズンは不振にあえぎ辞意を申し出たという。新監督にはクラブOBであるヤン・ヨンソン氏が着任すると10日に発表されたが、新体制でチームを立て直すことはできるだろうか。(取材・文:ショーン・キャロル)

●おそらくはトップの入れ替えが最善の決断

 変化と休息にはどちらも同じくらい価値があると言われる。J1が3週間の中断を迎えるにあたり、サンフレッチェ広島はここまでの散々なシーズンの流れを変えるため、その両方を実行することになった。

 2015年に4年間で3度目という国内王者のタイトルを獲得したのはそう昔のことではないが、「紫の矢」は2017年の前半戦に極度の不振に陥ってしまった。7月1日の浦和レッズ戦に3-4の敗戦を喫したあと、森保一監督はもはやここまでと判断し、自らの体に刃を突き立てる決断を下した。

 退任を決意した森保監督は、広島が降格圏に沈むに至った結果の責任を自ら取ることを主張したが、一方で選手たちは自分たちに大いに責任があると口にしている。たとえばFWアンデルソン・ロペスは、“森保以後”の初戦となった7月8日の横浜F・マリノス戦とのアウェイゲームを終えたあと、責任の90%はピッチ上の自分たちにあると語った。

 実際のところ、責任の割合を決めることはこの場合必要ではないだろう。森保監督と広島の間では単純に、様々なことが自然と流れから外れてしまったと言う方がよりフェアなことだ。

 48歳の指揮官は、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の後を引き継いで以来の5年半で素晴らしい仕事を成し遂げてきた。だが毎シーズンのように主力選手が去り、チームに残った主軸は年々歳を取っていく中で、クラブは監督にも選手たちにも断ち切ることが不可能な反復サイクルに陥ってしまったかのようだった。

 こういったケースでは、簡単な決断ではないとしても、おそらくはトップの入れ替えが最善の決断ではあるだろう。新鮮な顔をベンチに置き、新たなアイディアや新たな練習法を導入し、控え選手たちにもアピールのチャンスを与える。

 レギュラー選手たちにも、ポジションを維持するのにふさわしい力があることを新監督に納得させる必要があるというプレッシャーを課す。今月末にリーグが再開されるまでに、そういった全てのことがチームを再び活気づけるかもしれない。

●結果が示すほど酷くなかったパフォーマンス

 幸いにもサンフレッチェの今後の7試合は、予想の上ではそれほど過酷な日程ではないように思える。そのうち5試合が順位表の下半分に位置するサガン鳥栖、ベガルタ仙台、ヴァンフォーレ甲府、大宮アルディージャ、アルビレックス新潟との対戦であり、あとは4月7日にアウェイで1-0の勝利を収めているガンバ大阪と、5月27日に0-0で引き分けているジュビロ磐田との対戦だ。

 ヤン・ヨンソン新監督がチームの士気を高め、7月30日の鳥栖戦で今季のホーム初勝利を挙げることさえできれば、これまでわずか11ポイントという勝ち点をその後の6試合で大きく伸ばしていくことができるかもしれない。

 実のところ、パフォーマンス自体は結果が示すほど酷かったわけではない。攻撃面では今でも相手を苦しめることができている。森保監督のラストマッチとなった埼玉スタジアムでの一戦で、浦和が2-3から4-3の逆転勝利を収めたあと、ズラタン・リュビヤンキッチもその点に言及していた。

「広島は今でも良いチームなので、なぜこういう状況にいるのか理解できない」と、84分に交代出場したあとファーストタッチで3-3のゴールを記録した33歳は語った。

「広島と戦うのは簡単ではないが、こういうこともある。理由は分からない。それが分かるくらいなら変えられるだろうし、何でももっと簡単になるだろう」

 結局森保監督は、自身の退任がその修正の魔法をもたらすかもしれないと決意した。だがズラタンも予期していたように、流れは即座に好転したわけではない。横内昭展暫定監督に率いられたチームは、次節のマリノス戦で引き分け止まりだった。

「試合は90分間とアディショナルタイムまであります」。終了間際の失点で浦和とのアウェイゲームに敗れたあと、森崎和幸はそう話していた。ハーフタイム直前に2失点を喫しながらも逆転し、残り18分の時点ではリードしていた状態からの敗戦だった。

「先制点を取ることが大事です。今後は先に決めることを狙っていくべきだと思います。いつも先制されて追いかける展開になっていて、メンタル面でもフィジカル面でも負担が大きくなっています」

●危険水域だが、まだ全てを失ったわけではない

 先週末のマリノス戦もまた同じだった。広島はチャンスを活かすことができず、残りわずか9分となったところで先制を許してしまう。だがそこからしっかり追いつくことはできた。90分にアンデルソン・ロペスが決めた同点ゴールで勝ち点1をもぎ取ったという事実は、今後の復調に向けた悪くない第一歩になると水本裕貴は感じている。

「今シーズンのここまでのことを考えれば、0-1から勝ち点1を獲得するのは難しそうに思えましたが、誰一人諦めてはいませんでした」と水本は日産スタジアムでの試合後に語った。

「追いつくことができて、さらにアウェイでも2点目を狙っていました。それでも全体的なパフォーマンスを考えれば、勝ち点3が取れなかったのは残念だと思います」

「シーズン後半戦は本当に厳しい戦いになると思います。今日はたくさんシュートを打てましたが、枠に入れられるようにする必要がありますし、守備ももっと締める必要があります」

 森崎も指摘していたように、先に失点してからでなければゴールが奪えないことが今季のある種の問題点となっていることは確かだ。リーグ戦で広島が先制した例は今季わずか4試合しかない。そのまま勝ち点3を獲得できたのはガンバとの1試合だけだ。

 それでも、マリノスと1-1で引き分けたのは連敗を4でストップする結果であり、中断前に一息入れることができたのは確かだ。新加入の丹羽大輝とパトリックもチームの士気を高め、さらなる後押しを加えてくれそうだ。

 ヤン・ヨンソン新監督がすぐにチームに自信を植え付けることができるようなら、広島はまだ全てを失ったわけではない。だが現時点では危険水域にまで自信が低下しており、一刻も早く取り戻すことが必要だ。

(取材・文:ショーン・キャロル)

フットボールチャンネル

記事提供社からのご案内(外部サイト)