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プライバシー重視型の「Uber的」サービスは生まれるか──スイスの研究チームが開発したシステムの実力

7/12(水) 12:11配信

WIRED.jp

ライドシェアサーヴィスの利便性をほとんど犠牲にすることなく、位置情報という極めて重要な個人情報を守れる「ORide」と呼ばれるソフトウェアのプロトタイプが開発された。これにより、「プライヴァシーに配慮したUber」のようなライドシェアサーヴィスを提供できるという。その実力とは。

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あいまいな倫理基準とデータを使ったプライヴァシーの侵害で、Uberの右に出る企業はそういない。同社はスキャンダルに揺れ続けており、過去にはジャーナリストに対する脅迫や、位置情報を使ったユーザーのトラッキングなどもしていた。

そもそも、UberやLyftのようなライドシェアアプリを利用すること自体が「ファウスト的取引」だといえるかもしれない。しかし、とある暗号技術の研究チームは必ずしもそうではないと主張する。彼らはプライヴァシーを放棄することなく、こういったサーヴィスを受けられることを示したのだ。

「忘れやすい」利点をもったシステム

スイス連邦工科大学ローザンヌ校とローザンヌ大学の暗号研究チームは、「ORide」と呼ばれるソフトウェアシステムのプロトタイプを開発した。このソフトウェアはライドシェアサーヴィスの長所を犠牲にすることなく、ソフトウェアが集める位置情報を劇的に減少させるようデザインされている。ちなみに、ORideの「O」は「oblivious(忘れやすい)」の頭文字だ。このシステムでは、乗客と運転手の位置を両者以外が知ることはない。サーヴィスを提供する企業自身にもわからないのだ。

これはコンセプトの実証にすぎないが、ORideはアプリ型配車サーヴィスが、位置情報を必ずしもつぶさに追跡する必要がないことを示唆している。同チームは、競争が激化するライドシェア業界がこのソフトの採用を望んでいると話す。プライヴァシーは強力なセールスポイントになり得るのだ。

ORideを開発した研究チームの1人であるジャン=ピエール・ユボーは次のように述べる。「これによって位置情報を狙った攻撃や盗聴は不可能になり、ライドシェアサーヴィスの提供側も取得したデータ以上は利用できなくなります」。彼は「ORide」を、この夏に開催されるカンファレンス「USENIX セキュリティシンポジウム」で公開という。「現代の暗号化技術を使えば、情報を隠したままでソフトが要求を実行できるようになります」。

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最終更新:7/12(水) 12:11
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