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「動物のインターネット」畜産効率アップの取り組み最前線

7/12(水) 12:30配信

WIRED.jp

牛や豚といった家畜にウェアラブル端末を取り付け、位置情報や生体情報を管理する取り組みが始まった。この「動物のインターネット」(IoA)とでもいうべきシステムによって、鶏の病気や子豚の事故死が防げるようになるなど、畜産の効率がアップするのだという。取り組みの最前線に迫った。

世界中の農家が「携帯電話メール」でビッグデータを紡ぐ未来

「Internet of Animals」(IoA)という世界が生まれつつある。といっても、猫を嫌がらせるズッキーニのGIF画像や、スケートボードをするブルドッグの画像のようなものではない(これらは、2015年にインターネットを賑わせた動物たちだった)。米国では、農家が牛や豚、鶏などの家畜がネットワーク化されている。音声や加速度、位置情報、温度、グルコース、皮膚電気活動に至るまで──。センサーが取得したあらゆるデータを使って農家は、いまやワンクリックで羊や牛の群れを追跡・監視できるようになっている。

数十年にわたる農業の産業化を経て、テクノロジーによって農家は数千匹の動物を一緒に飼育できるようになり、その規模と収益性は高まった。動物性食品の需要が(今後15年で40%も)高まろうとしている現代においてさえ、家畜を育てる農家の数は減り続けている。2050年には世界で90億人を養わなければならないだけに、農業の産業化は農家の目や耳となるカメラやマイク、センサーとともに急速に進んでいる。

家畜用のウェアラブルデバイスとしては、足首のブレスレットから腹のベルト、耳のタグまで、さまざまな形とサイズのものが出回っている。これらはすべて同じ課題を解決するものだ。その課題とは、大規模な飼育作業のなかで家畜を健全に保つことである。

超過密で不衛生な飼育状況は、家畜が病気になったり怪我をしたりする可能性を高める。そこで現代のテクノロジーは、農家を助けてくれる。より的を絞って家畜をケアし、さらに健康的な行動を促すことさえできるのだ。

テクノロジーを活用することは、家畜福祉という視点からも経済的な視点からもいいことばかりだ。家畜がより健康になれば、卵もミルクもポークカツレツでも何でも、その分たくさん生み出される。一方、健康な個体が少なくなれば、人間もより健康でなくなるし、ひいては地球も健康ではなくなる。

しかし、ウェアラブル機器は農業の最大の問題を解決するわけではない。最大の課題とは、世界を破壊せずに人々を養っていけるものをつくることだ。ただし、それは機器の使い方次第である。この点で、ウェアラブルは機器いいスタートを切ったといえるかもしれない。

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最終更新:7/12(水) 12:30
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