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ネットの投稿が“ネタ”か本気か、迷ったときこそ「ポーの法則」

7/12(水) 18:50配信

WIRED.jp

インターネット上のコミュニケーションにおいて語られる言葉は、「ウソ」なのか「ホント」なのか──。不快な発言に腹を立てれば「過敏である」と笑われ、人種差別を指摘すれば、「冗談なのに、差別主義者に仕立てられた」と名誉棄損で訴えられる。顔の見えない相手の真意を見抜くために、かつて話題になった「ポーの法則」と呼ばれるものが注目されている。

【 極右勢力のミームが、「ユーモア」から「闘う英雄の崇拝」へと変化した理由 】

米国のミレニアル世代向け新興ニュースサイト『フュージョン』のレポーターであるエマ・ローラーは2017年4月、インターネット上の極右勢力の思惑にまんまとはまってしまった。英語圏を対象とした匿名掲示板「4chan」の“ネタ記事”を信じ、“釣られた”のだ。

4chanユーザーは2月下旬から、ある“布教活動”を行っていた。たわいもないサインやマークを「ホワイトパワーの隠語で、白人至上主義者たちの使う秘密の合図」であると偽るものだ。とりわけ好んで使われたのは「OK」のハンドサインだった。親指と人差し指で輪を作り、残り3本の指を立てると、白人至上主義者を自称するジェスチャーとなるという。

もともとは、「ポリティカル・コレクトネス」(政治的な正しさ)を過剰に求める風潮を皮肉るジョークだった。しかし、これを4chanユーザーたちが面白がり、真実として定着させようと盛り上がった。これに超極右メディアも加担した。そして4月29日、ついに彼らの努力が実り、ローラーがこうツイートした。「ホワイトハウスで白人至上主義者のジェスチャーをしている人が2人いたわ」

ツイートには2つのリンクが貼られていた。1つは、フリージャーナリストのマイク・チェルノビッチと、ロシア政府系メディア『スプートニク』の記者だったカサンドラ・フェアバンクスがOKサインをし、「国家安全保障担当記者」と自称した画像。もう1つは、4chanの画像で、「OK」は白人至上主義者の使うハンドサインだと紹介するものだ。

いま、ローラーは名誉棄損で訴えられている(ツイートはすでに削除されている)。一方、チェルノビッチとフェアバンクスの2人は、“釣り”のための“祭り”に意図的に参加したことを明らかにしている。フェアバンクスは転職し、現在は政治を中心とした米国のニュースサイト『Big League Politics』(ビッグ・リーグ・ポリティクス、BLP)に勤めている。米国の右派ニュースサイト『ブライトバート・ニュース・ネットワーク』のOBが立ち上げたもので、ローラーの訴訟の原告でもある。

匿名掲示板やブログ、SNSのように、ユーザー同士で双方向のコミュニケーションが可能なソーシャルメディアに親しんできた人であれば、これまで次のような“戦術”を見たことがあるだろう。すなわち、ある人が不快な発言をしておきながら、それは冗談だと言う。そして、相手を過敏だと主張し、非難を逃れようとする。真の動機を隠すために皮肉を身にまとうのだろうか? いったいどういうことだろう。

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最終更新:7/12(水) 18:50
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