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死にかけの東芝でこれから起きること 知られざる「1兆円規模」のリスクが…

7/12(水) 7:01配信

現代ビジネス

 「決まる」「大丈夫」。東芝の経営陣が自信を持ってそう語った数日後には、裏切られる――。もはや大企業の体を成していないこの巨象の内実を、東芝取材を続けるジャーナリストが語り尽くす。

ブロードコムが逃げた理由

 大西 東芝は半導体子会社の売却について、産業革新機構、日本政策投資銀行、米ベインキャピタル、韓SKハイニックスの「日米韓連合」に優先交渉権を与えることを決めましたが、直前までは別のシナリオが走っていたんです。

 磯山 というと。

 大西 当初は米ブロードコムで行くことになっていて、産業革新機構も、その背後にいる経済産業省も了承して、話が進んでいた。

 誤算だったのが、東芝と半導体工場を共同運営している米ウエスタンデジタル(WD)の動き。売却の差し止めを求めて米上級裁判所に提訴するなど、想定以上に強硬に出てきた。

 ブロードコムは、WDのことは同じ米企業同士として手の内をよくわかっている。それで勝てないと踏んだのか、「降りた」と。

 磯山 経産省は焦ったでしょうね。私が聞いた話では、今春に経団連の大物が官邸に赴いて、「半導体の技術流出を防がなければ」と直談判した。それで官邸から経産省にちゃんとやれ、と指令が降りていたようですから。

 大西 土壇場で降りられたのだから、もうパニックですよ。それでカネを出してくれるならどこでもいいという風になり、日米韓連合に決めざるを得なくなったわけです。

 そもそも、政府が東芝という民間企業の案件にカネを出すのは、技術流出を防ぐという名目があったから。それなのに、技術流出の観点から「絶対にダメ」と言っていた韓国企業の入った連合に決めざるを得なかったのだから、いかに慌てた決断だったか。

 磯山 確かに、技術流出を阻止したいのであればこの選択肢ではなかった。しかも、雇用が守られる保証もないのに、国民の税金がぶちこまれようとしているわけで、こんなにバカげた話もない。

 大西 東芝の綱川智社長は、SKハイニックスは出資ではなくて融資でおカネを出すので、技術流出する心配はないなどと言っていますが、それはあり得ないでしょう。

 では、ハイニックスの経営陣は何千億円というおカネを出す根拠を自分たちの株主にどう説明するのか。「かわいそうな東芝を助けるためで、我々は技術をもらいません」などと言えば、株主から「バカかお前らは」と経営陣は即クビにされますよね。おカネだけ、というわけがない。

 磯山 東芝の経営陣からすれば、早く売却先を決めないと来年3月末の債務超過を回避できないから、もはやスケジュールありきで事を進めるしかなかった、とも言える。

 一方で、WDの提訴の動きもあり、このままスムーズに事が進んでいく保証はない。東芝もWDを「虚偽の情報を流している」と訴えるなど、ドロ沼の対決になってきました。

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最終更新:7/12(水) 7:01
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