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【イースタン・ロッテ】いつまでも走れ、カルロス・ムニス

7/13(木) 11:00配信

文春オンライン

※こちらは公募企画「文春野球フレッシュオールスター2017」に届いた約100本の原稿のなかから出場権を獲得したコラムです。おもしろいと思ったら文末のHITボタンを押してください。

【出場者プロフィール】栗栖 章(くりす・あきら) 千葉ロッテマリーンズ 24歳
 1993年2月生まれ。富山県出身。大学中退後ライターとなり、『野球太郎』『屋上野球』などの雑誌、ムック本、Webサイトなど様々な媒体で活動する。戦前~昭和の野球史、高校野球からプロ野球、野球コラムまで幅広く執筆。好きな球団はロッテ。好きな選手は昔・黒木知宏、竹原直隆、ムニス。今・工藤隆人。好きなマスコットはズーちゃん。

◆ ◆ ◆

「バモス、バモス、カルロス・ムニス! バモス、バモス、カルロス・ムニス!」

 2010年6月6日神宮球場、ヤクルト対ロッテ戦で、“謎の外国人”と呼ばれたムニスの応援歌が鳴り響いた。僕はそれを球場の、どこか遠いところから聞いていた気がする。

“謎の外国人”カルロス・ムニスとの出会い

 僕は高校生の頃、ロッテの二軍本拠地・ロッテ浦和球場に足しげく通っていた。行く場所が無かったからだ。誰とも馴染めず、成績もダダ下がり。そんなものだから学校が嫌になり、行くふりをしてはサボっていた。だが、金の無い高校生が暇を潰せる場所など多くはない。自然に足は、大好きな野球とマリーンズがある(そして平日昼間に無料で入れる)浦和球場へと向かっていた。

 そこにいたのは、二軍球場にまで観戦しに来るマニアックなファンの人々。引っ込み思案な僕はその輪に入れなかったが、Yさんという方が仲良くしてくれたおかげで、加わることができた。

「おお、坊主、今日も来たのか」

 なぜ制服を着た高校生が平日昼間に野球を見ているのか。その理由をYさんと浦和球場の人々は聞かずにいてくれた。ただ、一緒に野球を楽しんだ。そのことがとても嬉しかった。

 そんなYさんのお気に入りの選手は、ムニスだった。このキューバ人選手のどこに惚れたのかはわからないが、とにかくムニスのファンだった。彼が打つたびにYさんは歓声を上げた。ヒット、ホームラン、一塁へのヘッドスライディング。つられるようにして、僕もムニスのプレーに、小さいながらも声を上げるようになった。大声を出すほどの度胸は無かった。ただ小さく、「ヨッシャ」と呟く。それだけ。

 応援のおかげかどうかはわからないが、ムニスはよく打った。1年目にはイースタン・リーグの首位打者に輝き、ホームランも15本打った。そしてファンサービスも良かった。快くサインをしてくれたし、笑顔で一緒に写真を撮ってくれることもあった。球場にムニスの家族が訪れて観戦することもあった。そんな日は、いつも以上に活躍を見せていた。

 でもその年、一軍では一度も起用されなかった。可哀想なムニス。あれだけ打ったのに、どうして使われないのか。バレンタイン監督が恨めしかった。

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最終更新:9/27(水) 12:51
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