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パリ、コレット閉店!! 20年の幕を下ろす

7/13(木) 11:12配信

GQ JAPAN

なんともショッキングなニュースである。パリ、サントノーレ通り213番地に位置する、世界のファッションの殿堂(品揃え店)コレットが、今年12月20日もって閉店すると、インスタグラムで発表した。

予兆はあった。同店オーナー、コレット・ルソーの娘であり、同店のクリエイティブ・ディレクター、サラ・アンデルマン。彼女が、6月のパリ・メンズファッションウィークの会場で、姿が見当たらないことがよくあった。また、いくつかの有名ブランドで、なぜか“2列目”に座っていた。サラといえば世界のファッション業界で、知らぬ人のいないVIP中のVIPである。その彼女がフロント・ロー(最前列)に座らないとは、なにかあったに違いなかった。その理由が残念なことにはっきりした。

コレットはパリの、いや世界のファッションブティックの、まさに頂点の存在である。服や靴やバッグはもちろん、音楽もアートもファッション雑誌も、「最も新しいもの」や「最高に良いもの」は、すべて最初にコレットにあった。

世界のバイヤーはパリにくると、まず一番に「コレット詣で」をした。ファッションウィーク中に、そのウインドウで展開される「特集」を見るだけでも勉強になった。また世界のファッション誌も「コレットに置いてもらう」ことが、一つの目標であった。6月、偶然同じ飛行機に乗り合わせた、日本のアート的な新雑誌の編集長も、「これを見てもらうつもり」と新刊を手に、その眼を輝かせていた。

コレットの地下の“良い水”が飲めるカフェでは犬のウエイターが迎えてくれる。そこは、本当の先端でありながら、クール過ぎる気取りはない、パリのおしゃれなオアシスであり、そしてやはり「文化」のメッカでもあった。

いくつもの、採算を度外視したアートのフェアも、2階の奥で行われ、サラは先頭に立ち、新進のアーティストたちを熱心に支援していた。かと思えばレアなスニーカーや、最高に音がよくてかっこいいヘッドフォン(イヤフォン)も、眩しいほどの携帯電話も、コレットならば見つかった。

同店のお得意客の一人であったカール・ラガーフェルドも語る。「僕が行く唯一の店はコレットだ。他の店に売っていないものがたくさんあるから。僕は時計も携帯もジュエリーもここで買う。コレットは誰にも真似できない方程式を作った。コレットはこの世に唯一の店なのだ」

その輝きはこの20年間、いっさい陰ることはなく、昨年もヴェトモンのデムナ・ヴァザリア一行が、あのショッピングバッグを肩に、コレットの前にしばらくいただけで、大きな話題になったものである。

同店は今年3月、パリ装飾芸術美術館で、創業20周年を祝った。それ以前から水面下で、跡地を引き継ぐサンローラン社との話し合いが行われていたらしい。そういえば90年代、サンローランのメンズデザイナーとして、脚光を浴びるエディ・スリマンが(ディオール・オムを手掛ける前のことである!)コレクションの会期中に、自分の愛犬を連れて皆に見せに来た(笑)のも、コレットの前だった。「そこに行けば、何でもある」だけでなく、「誰かがいるし、誰もがいる!」のが、まさにコレットだったのだ。

閉店までは、今までどおり、いろいろなフェアやコラボなども行っていくという。最後のコレットに出会うために、またパリに行かねばならない。

Words: Chiyumi Hioki

最終更新:7/13(木) 19:51
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