ここから本文です

上昇気配の逃げ馬ステイインシアトルが、函館記念でぶっちぎる条件

7/13(木) 7:40配信

webスポルティーバ

 逃げ馬は、いつも一発大駆けの可能性を秘めている――。

 そのことを改めて思い出させてくれたのが、前走・GIII鳴尾記念(6月3日/阪神・芝2000m)を鮮やかに逃げて勝ったステイインシアトル(牡6歳)だ。

【競馬】函館記念を圧勝した、あの名馬を知っているか?

 2走前、オープン特別の福島民報杯(4月16日/福島・芝2000m)。2番人気に支持されたステイインシアトルは、スタート直後こそハナを切ったものの、すぐに他の馬に先頭を奪われて、スムーズな競馬ができずに6着と敗れた。

 だが、続く鳴尾記念ではスタートしてハナに立つと、一度もそれを譲ることなく、その前のレースとは別馬のような粘り強さを披露。断然の1番人気スマートレイアーの猛追もクビ差しのぎ切った。

 以前、関東のあるジョッキーに聞いたところでは、逃げ馬の好走の要因は自らレースの主導権を握る有利さもあるが、それ以上に、視野の広さからくる心理面のプラスが大きいという。

 馬群の中にいて、前にも左右にも馬を見て気を使いながら走るより、先頭で何ものにも視界を遮られず、周囲の景色だけを見て走るほうが、よほど気分よく走れる。この心理面における”爽快感”や”安心感”が、馬の持つ力を存分に引き出したり、いつも以上の力を引き起こしたりするそうだ。

 逃げ馬を楽に逃がすと厄介なのは、このためだ。また、普段は逃げない馬が、たまに逃げて思わぬ力を発揮して穴をあけることがあるのも、このためらしい。

 さて、6歳の春にして、初の重賞制覇を飾ったステイインシアトル。その軽快な逃げ足は、ついに重賞のレベルにまで達して、GIでも好勝負を演じているスマートレイアーの末脚を封じるまでになった。

 今週末に行なわれるGIII函館記念(7月16日/函館・芝2000m)でも、主力の1頭として注目を集めている。

 ここまで、10戦5勝、2着2回(着外3回)。もともと脚元が弱く、3歳春の未勝利戦でデビューし、その3歳時も2戦しか消化していない。以降、3歳春から4歳の暮れまで、およそ17カ月半の休養を強いられ、4歳時にこなしたレースも1戦のみだった。

 だが、その長期休養を経て、ステイインシアトルはその後、順調にレースを使えるようになって徐々に頭角を現してきた。その過程を、関西の専門紙記者が振り返る。

「デビューしたのが福島ですから、(ステイインシアトルは)もともとそれほど期待されていたわけではなかった。でも、1年半ほど休んで、その復帰戦で見どころがあった。普通はそれだけ休むと、すぐには走れないものですが、この馬は勝ち馬とタイム差なしの2着に食い込んだ。しかも、その後に2連勝。あのとき『この馬、強くなったなぁ』と、素直に思いましたよ」

 これまでに挙げた5勝は、すべて逃げ切り勝ち。逆にハナを切れなかったり、途中で先頭を奪われたりしたときは、意外なほどの脆さを見せる。掲示板にさえ載れない惨敗を喫した3回は、いずれもこういうときだ。

 函館記念においても、この馬の勝敗は逃げられるかどうかが、ひとつのカギになりそうだ。

 強敵は、前走の巴賞(7月2日/函館・芝1800m)を快勝したサトノアレス(牡3歳)に、昨年の勝ち馬であるマイネルミラノ(牡7歳)あたりか。ステイインシアトルにとって、とりわけ気になるのは、マイネルミラノのほうだろう。

 というのも、6着に敗れた2走前の福島民報杯を勝ったのが、このマイネルミラノ。ぴったりマークされて、早めにかわされると、そこで戦意を喪失させられた。

 舞台が福島から函館に変わるとはいえ、同じローカル競馬場の小回りの2000m戦。同じことが起こらないとは限らない。いや、マイネルミラノが函館を得意とすることを思えば、むしろステイインシアトルを絶好の目標にして、福島民報杯と同様のレースを仕掛けてくる可能性のほうが高いのではないか。

 前出の専門紙記者はこう分析する。

「ステイインシアトルは内にササるという癖があるから、逃げるにしてもラチ沿いを走りたい。そのためには、内枠を引くことが絶対条件。そうして、どれだけ自分のペースに持ち込めるか。あと、本質的には輸送はよくない馬だから、それも克服しなければならない。勝つためには、いくつもの厳しいハードルがあると言えます」

 結果を出すためには、ステイインシアトルが克服すべき課題は多いようだ。とはいえ、前回マイネルミラノに屈したからといって、今回も同じ結果になるとは限らないし、何よりも逃げ馬が気分よく走ったときには”ミラクル”がある。

 函館記念は、ステイインシアトルにとって試金石となる一戦。ここを勝てば、秋以降に大きな期待が一気に膨らむ。

新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sportiva

集英社

Sportivaムック
10月5日(木)発売

定価 本体1,593円+税

フィギュア特集
『羽生結弦 いざ決戦のシーズン』
■オータムクラシック2017
■宇野昌磨、本田真凜ほか

Yahoo!ニュースからのお知らせ