ここから本文です

元ひきこもりの現代美術家、「弱い誰か」を見殺しにするな

7/13(木) 17:37配信

オルタナ

元ひきこもりの現代美術家・渡辺篤氏が8月4日から六本木ヒルズ A/Dギャラリーで個展を開く。個展の名称は、「わたしの傷/あなたの傷」。渡辺氏に個展の見所について寄稿してもらった。



東日本大震災の直前まで私は深刻なひきこもりだった。東京藝術大学を卒業後、将来の不安や、長く患っていた鬱、失恋などを理由に足掛け3年ひきこもった。(寄稿・渡辺 篤=現代美術家)

のちに現代美術家として再起し、様々な当事者経験を社会問題と関連付けながら作品化してきた。今回、きたる8月4日から六本木ヒルズ A/Dギャラリーで個展を開く。

今日、ひきこもりは日本に150万人以上居るとも言われ社会問題になっている。2014年発表の作品「止まった部屋 動き出した家」では、一畳サイズのコンクリート製造形物の中に1週間自身を密閉してこもり続けたのち、カナヅチを使って脱出した。

この過酷なパフォーマンスは、山岳修行における「擬死再生(一旦死んで生まれ変わる)」や仏教由来の「内観」にも通じる。「とらわれからの再生」を自身のひきこもり経験を踏まえ表現した。

また、この時の個展開催に向け、インターネットを通じて、ひきこもりの方たちが暮らす部屋の写真を募集し、集まった写真約60枚を展示した。思いがけず、ひきこもり当事者も複数人鑑賞に訪れた。今回この作品は形式を変えて展示する。

母親との共作も制作予定。ひきこもりだったときの私にとって、扉のこちらの傷は、同時に扉の向こうに居る者の傷にもなった。それに気付くことが、私がひきこもりを終えた理由の一つである。家のミニチュアを一旦壊し、当時の互いの視点を元に対話しつつ、修復を試みる。

さらに「プロジェクト『あなたの傷を教えて下さい。』」 (2016年~継続中)では、ウェブサイトを通じて心の傷についての話を匿名で募集している。現在までに約700件、様々な言語で送られてきている。

1/2ページ

最終更新:7/13(木) 17:37
オルタナ

記事提供社からのご案内(外部サイト)