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秩父の山奥にアマ野球の巨匠が来た。「歌舞伎打線」の連打で狙う甲子園

7/13(木) 8:00配信

webスポルティーバ

 東京の池袋駅から特急で1時間半弱の西武秩父駅。そこから、さらに車を走らせること30分弱。秩父の山々に囲まれた盆地に、人口1万2000人弱の小さな町・埼玉県小鹿野町(おがのまち)はある。

■まさに「左の内川」。花咲徳栄・西川愛也の打撃術

 そんな田舎の原風景が色濃い町にある唯一の高校である小鹿野高校は、数年前、少子化の影響により廃校の危機にあった。人口が減り続ける小鹿野町の町おこしとして白羽の矢が立ったのが高校野球であり、その一環として石山建一氏(74歳/以下、敬称略)が招聘された。

 現役時代は静岡高と早稲田大で全国準優勝を飾り、日本石油(現JX-ENEOS)では日本一。指導者としては早稲田大とプリンスホテル(2000年に廃部)でも日本一。1995年からは読売巨人軍の長嶋茂雄監督(現・終身名誉監督)に請われてフロント入りし、編成部長などを歴任した名伯楽だ。

 自治体からの熱心なアプローチにより、石山は2012年から外部コーチとして小鹿野高校硬式野球部の指導に携わることになった。2009年に夏の甲子園で準優勝を果たした日本文理(新潟)など、これまで様々なチームにアドバイザー的な立場で指導を行なってきたが、そのなかでも赴任当時の小鹿野は最弱と言っていい状態だった。

「僕が来た時は部員が5人しかいなくて、外野も草がボーボーでボールがなくなっちゃう。まずはグラウンドの開墾やボール集めから始めましたよ(笑)」

 そう苦笑いで振り返る。だがそこから、石山を中心とした的確な指導と環境整備で、チームは右肩上がりの成長を続けている。指導の基本は「野球を嫌いにさせないこと」だ。

「『雨が降って練習が休みにならないかなあ』じゃ、うまくなりません。『早くグラウンドに行きたいな』って思わせないと。野球嫌いにさせたら指導者失格ですよ。日本の野球は小学生から監督がサインばっかり出してがんじがらめだけど、僕は選手主体のスタイル。ウチの選手たちは野球がどんどんうまくなるから、楽しそうにやる。だから、大学でも続ける選手が増えてきています」

 チーム最大の武器は「小鹿野歌舞伎打線」だ。江戸時代から小鹿野で行なわれている町民たちの芝居一座で、そこで使われる拍子木の“連打”と安打の“連打”をかけて、石山が命名。公式戦のスタンドではメガホンとともに拍子木が打ち鳴らされる。

 昨年秋と今年春の公式戦では6試合で60得点を叩き出して、昨秋の県大会では16強入りを果たした。甲子園出場経験もある本庄第一にも10対11と肉薄した。

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