ここから本文です

ロンドンの高層マンション大火災を空から偶然とらえていた

7/13(木) 12:33配信

WIRED.jp

2017年6月、ロンドン西部にある24階建ての高層住宅で80人超が死亡するという大規模火災が発生。そのとき偶然上空にいたある写真家が、火災の様子をカメラでとらえていた。ヘリから身を乗り出し、強い風にあおられながらシャッターを切り続けた緊迫した時間について、写真家が振り返った。

誰も見たことのない「白黒の花火」

2017年6月14日(現地時間)の早朝、写真家のジェイソン・ホークスが乗るヘリコプターがロンドン南部にあるガトウィック空港から飛び立ったとき、彼の頭のなかには高層マンションで起きた火災のことなどなかった。

ホークスはその日の朝、ロンドン上空をヘリコプターで周回して、建築会社や広告代理店に頼まれた航空写真を撮影するつもりだったのだ。ところが、飛び切り澄み渡った朝の空に太陽がのぼってくると、立ち昇る分厚い煙がロンドン西部の空を暗く覆う光景に、彼はショックを受けた。

「30マイル(約48km)離れた場所からでも煙が見えるほどでした」と彼は語る。

24階建ての高層マンション「グレンフェル・タワー」で午前1時ごろに発生した火災により、複数の階が瞬く間に焼きつくされ、住人600人の多くが中に閉じ込められた。鎮火には24時間以上かかったとされるこの火災により、80人以上が死亡し、70人以上が負傷した。

ホークスが乗ったヘリのパイロットがグレンフェル・タワーのそばを通過する許可を受けたのは、午前5時ごろだった。建物の1,200フィート(約366m)上空を周回しながら、パイロットとホークスは、消防隊が全力で鎮火にあたる様子を見守った。煙の柱が朝の光のなかで輝いていた。

パイロットに言われるまで写真を撮るつもりはなかったホークスだったが、ヘリのドアを開けて身を乗り出し、逆風を受けながら「Nikon D810」を構えた。それは彼にとって、現実とは思えない体験だった。「地上で起こっていることはとても悲惨なことなのですが、自分はそこから完全に別の世界にいました」と彼は語る。「これ以上にない最悪の状況に居合わせながら、写真の構図を考えている自分がいたのです」

自身が目撃したものの大きさを実感したのは数時間後、撮影した写真をアップロードしたときだった。そのときホークスは、この体験に非常に長くつきまとわれることになることを、ようやく認識したのだった。

LAURA MALLONEE

最終更新:7/13(木) 12:33
WIRED.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

『WIRED Vol.28』

コンデナスト・ジャパン

2017年6月8日発売

630円(税込み)

特集「Making Things ものづくりの未来」。大量生産、大量消費の時代が終わりを迎えるなか、ヒトはいかにものと向き合い、それをつくり、使っていくのか。