ここから本文です

【試写室】「遺留捜査」上川隆也の“ライフワーク”は健在だ

7/13(木) 6:00配信

ザテレビジョン

「僕に3分だけ時間をもらえませんか?」

そう聞かれたら、あなたは「まあ3分くらいならいっか」と思うか、「3分も~!? カップ麺なら完成しちゃうぞ!」と思うか。いずれにせよ、大した時間だとは思えないので、許可してしまう人が大半なのではないだろうか。

【写真を見る】今回新たに糸村(上川)と一緒に捜査するチームも個性派ぞろいだ

ただし、“彼”の3分は3分にあらず…。回によってはそのせりふが出てから7分以上たっぷり喋ったことも。それも「全然3分じゃないじゃん」というツッコミ待ちだという説もあったりなかったり。ここまできたら何の話かピンとくるだろうか、そう糸村聡という風変わりな刑事が活躍するあのドラマだ。

各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。

今回は、上川隆也演じる糸村刑事のトリッキーな活躍を描く、7月13日(木)スタートのドラマ「遺留捜査」(テレビ朝日系)の初回スペシャルを取り上げる。

「遺留捜査」は、事件現場に残された“遺留品”が持つ意味を徹底的に探り、事件そのものを解決するだけでなく遺族の心情をも救う優しさと、超マイペースで空気を読まない不思議キャラで視聴者をとりこにしてきた刑事・糸村(上川)の活躍を描く人気シリーズ。

これまで連続ドラマ3シーズン、スペシャルドラマ4本が6年にわたって放送されており、満を持して2年ぶりに連続ドラマとして復活する。

■ 「遺留捜査」初回2時間スペシャルあらすじ

神戸港を周遊する遊覧船で爆発が起き、乗員乗客を人質に取る事件が発生。犯人は陸上から船内の動きを監視していると無線を使って警告し、犠牲者を出したくなければ1時間以内に2億円を用意しろと、運航会社“黒沢興産”を脅迫する。

黒沢興産の本社が京都にあることから、特別捜査対策室も動きだす。その“特対”メンバー、神崎莉緒(栗山千明)は神戸港に急行。双眼鏡で遊覧船を確認すると、謎の男がデッキから自分に向けて手旗信号を送っていることに気付く。「あ、か、い、…?」

実は、手旗信号を送った男こそ、警視庁月島中央署の刑事・糸村聡(上川隆也)だった。糸村は旅行中に偶然この事件に巻き込まれたのだが、船上から見えたある“不審点”を莉緒ら捜査員に伝えようとしていたのだった。

要求通り、時間内に黒沢興産から2億円が用意され、無事に解放された乗客たち。その中から、手旗信号の男を見つけた莉緒は、彼が刑事だと知り驚く。しかも、糸村は爆発現場で燃えかけの細い和紙を拾ったから、科捜研に回してくれと依頼。

捜査に役立つ遺留品とも思えず、糸村のことをかなりの変わり者だとあきれる莉緒。そして、京都府警に派遣されてきた科捜研係官・村木繁(甲本雅裕)は、紙片の鑑定を依頼され、「まさか、あの男? いや京都にいるわけがないぞ」と糸村のことを思い出し、身震いしていた。

間もなく事件の指揮を任された特別捜査対策室室長・桧山亘(段田安則)は、黒沢興産と、遊覧船に乗っていた代議士・長部麗子(財前直見)の間に、知られざるつながりがあるのではないかとにらみ、特対刑事の佐倉路花(戸田恵子)や雨宮宏(永井大)らに彼らの周辺を探らせる。

一方の糸村は、例によって遺留品の和紙のことばかりを調べている始末だったが、その線でたどり着いた人物こそ、黒沢興産の創業者である黒沢恒之助(伊東四朗)だった………。

「三度のメシより遺留捜査」で、実際に東京の西の方から、月島に引っ越し、それを上川氏本人に伝えて恐縮されてしまった筆者にとって、「遺留捜査」が連ドラで復活!の報は今年イチうれしい出来事と言っても過言ではなかった。

それと同時に、「だがしかし…京都府警へ異動!」と聞き、人知れず、もんじゃストリートで泣き崩れたのは言うまでもない。テレビ朝日の視聴者センターに電話しようかと本気で悩んだほど。ええ、筋違いですけどなにか。

私情はさておき、いよいよ13日に初回2時間スペシャルでスタートする本作。“木曜ミステリー(夜8時)枠”という、「科捜研の女」や「おみやさん」など、テレビ朝日にとって大事な作品がたくさん生まれてきた枠で初めて放送されるのだが、これまたどうしてしっくりくるのは、作品の持つ味からか。

誰もが子供の頃に乗ったことがありそうな遊具が爆破されるバイオレンスなシーンからスタートした初回。

その後の船の爆破シーンといい、やはりというべきか、そんじょそこらの刑事ドラマとは比べものにならないほどリアルというか、生々しいそれ。一発で作品の世界に引き込まれた。

そして、土地が変わったこともあって、オープニングのタイトルバックもまたこれまでとは違った味わいのあるものに。ベースの音楽が変わらないだけあって、遺留捜査感は損なわれない上、とても上品で格好いい。

SPドラマでは割と知らないチームで事件を解決することがあったからか、今回新たに京都府警捜査一課の「特別捜査対策室」の捜査に加わっても、全くもって違和感がない。マイペースで何色にも染まらないが、どこにでもすぐに溶け込めるのが糸村の糸村たるゆえんか。いや、そこまでは言えんか。

というより、第1シリーズから糸村がいる所に必ずいる村木という男の影響もあるのかも。今回も、村木との台本を超えたやりとりは健在だ。あまり意味を持たなそうな遺留品が持ち込まれたとき、“嫌な予感”がするくだり、「ここは京都だぞ♪」の言い方はちょっとかわい過ぎる…。

村木ファンが萌えること間違いない。しかも先日のトークショーでも断言していたが、歴代この村木とのやりとりは、脚本家のせりふ回しをそのまま演じるということはないらしく、長年培われた2人の空気感によって毎回オリジナリティーあふれるものになっているんだそう。

今回、画面を通して2年ぶりの再会のシーンはまるで上質なシットコムを見せられているかのように、クスッと笑えるので、油断して見逃すことないよう。

何なら、そのうち糸村&村木の“村々コンビ”で「M-1グランプリ」に出たとしても、いい線いきそうな予感だ。“結成(作品誕生)15年”になる前にぜひ、出てほしいなあ。

さらに、本作から登場の戸田演じる佐倉の“聞き込みの心得”は、今どきの記者に見てもらいたいくらい参考になるし、栗山演じる莉緒の150キロの直球のような真っすぐな刑事としての立ち居振る舞い、財前のデキる女性代議士感、金剛地武志の実にいそ~な秘書っぷり、困ったときの東根作寿英、伊藤四朗の“業界のドン”感などなど、見どころ十分だ。

また、今回の糸村さん。これまでもしれっと多才な面を見せてきたが、まさか“手旗信号”までビシッと決めてしまうとは…。ものすごく真剣な表情で旗を動かす糸村には、申し訳ないが思わずニヤリとしてしまった。それに、彼の記憶力も今回まざまざと見せつけられた。

個人的には、京都の街でも肩掛けバッグにおなじみの自転車で捜査に臨んでいるところを見られたのはうれしい限り。冒頭で触れた3分だけ~のシーンもバッチリあるし、3分じゃ終わらないのも彼の“仕様”として、「もう糸村さんったらしょうがねえなあ~」とニヤニヤしてしまった。

はてさて、相変わらず長くなってしまったな。

では、そろそろ不動産屋さんに行ってみようかな。今度はどこに住むかって?ふっ、ここまで読めばお分かりでしょ?

そうだ京都、行こう。

最終更新:7/21(金) 17:45
ザテレビジョン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

週刊ザテレビジョン

株式会社KADOKAWA

2017年号47号
11月15日

特別定価:360円