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作家・三浦しをんが博物館を愛するワケ

7/14(金) 12:02配信

otoCoto

旅先で博物館を発見したら、とりあえず入ってみる。そんな、博物学派ならぬ「博物館派」の三浦しをんがひさしぶりのエッセイ単著を発表した。全国13ヶ所を訪問した『ぐるぐる博物館』だ。その中には国立科学博物館のようにアカデミズムの先端に触れられるものがあり、めがねミュージアムのように何かのジャンルを突き詰めたものもあり。三浦式好奇心の発揮の仕方が存分に味わえる好著だ。織田作之助賞を受賞した『あの家に暮らす四人の女』以来2年ぶりとなる新刊発売に合わせていろいろ話をうかがってみた。そもそも三浦さん、どうして博物館がお好きなんですか?


──いきなり個人的な話で申し訳ないんですけど、僕は以前、三浦さんがアルバイトしておられた古書店にも通っていたんですよ。そのころはお勤めされてないころだと思いますが。

あれ、そうなんですか。でも、私もそのころはお客さんとしてはしょっちゅう行ってたから、そこで絶対何度か会っているはずですね。

──エッセイでお書きになっているのは店名がイニシャルでしたけど、「あ、あそこだ」ってわかりました。旧店舗のほうですよね。

そうですそうです。ずっとお客さんとして行ってて、アルバイト先にもなり。家の近くで全部済ますという体たらくです(笑)。

──今回の『ぐるぐる博物館』は『あの家で暮らす四人の女』(中央公論新社)から2年ぶりのご著書になりますが、そもそもエッセイを出されるのもひさしぶりですよね。風合いとしては2011年の『ふむふむ おしえて、お仕事!』(新潮文庫)と同系列で、ルポルタージュ形式です。博物館探訪というアイデアはどこから出てきたのでしょうか。

私がもともと博物館が好きなんです。編集者の方から「美術館をたずねるエッセイを連載しませんか」とお声がけいただいたんですが、「美術館は全然興味ないけど博物館は興味あります」って言ったら「じゃあ博物館にしましょう」と(笑)。最初は、展示についてただ見て歩くだけではなくて、取材者特権で学芸員さんにご案内いただいたらより理解が深まるだろうな、ぐらいの気持ちだったんですけど、最初にうかがった茅野市尖石縄文考古館の学芸員さんに興味を惹かれたんです。もちろん博物館自体すごくおもしろくて展示品もなるほどと思ったんですけど、学芸員さんがすごく熱心な方だったもので。そこからだんだん「その博物館の学芸員さんに会いに行く」みたいになっていった感がありますね。

──鯖江市のめがねミュージアムやボタンの博物館の回では、その世界ならではの深い職人的な掘り下げに圧倒されました。博物館の選択は、最初のうちは縄文考古館ですとか科学博物館ですとか、アカデミズムの中心に近いところですよね。そこからだんだんそれていく感じが楽しかったです。

編集の方が最初に博物館のリストを作ってくださったので、その中から選んでいたんですけど、一つの博物館に行くと「次はこういうのを見てみたい」というのが湧いてくるんですね。縄文時代を見たら「じゃあ人そもそも人類史ってどうなってるの」って知りたくなって科学博物館に行くとか。それで広がっていきましたね。

──三浦さんがご自分で博物館好きだなと自覚したのって、何がきっかけだったんですか。

子どものころから割とお寺とか遺跡が好きだったんですよ。で、お寺に行くと、だいたい宝物館がありますよね。

──拝観料を払って入ったはずなのに、中で別料金を取られたりする(笑)。

そうそう。遺跡も、どんな小さいところでも近くにちょっとした博物館みたいな施設があって、説明がいろいろ書いてあるじゃないですか。そういうのを見るのが好きだなとは思ってたんですよ。大人になって一人旅をするときも、とりあえずその土地の名所とされる神社とか寺には行く。で、「次どこ行く?」というときは絶対博物館に行ってる自分に気付いたんです。「私はなんで博物館に見かけると必ず入ってしまうのだろうか」と。

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最終更新:7/14(金) 12:02
otoCoto