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乳がんのマンモグラフィー検査で見つかる腫瘍は、多くが「悪性」ではなかった

7/14(金) 7:30配信

WIRED.jp

乳がん検査に使われるマンモグラフィーは、1mm程度の小さながんまで見つけられるよう進化している。しかし、害のない腫瘍が悪性と判断され、患者に無用な負担がかかる「過剰診断」の問題も指摘されている。患者にとってより良い治療法とは。

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乳がん検診で行われる、乳房を圧迫して撮影するマンモグラフィーには、過剰診断という問題がある。

医師たちは以前から、マンモグラフィーで発見された腫瘍の一部は生死にかかわる問題にならないことを知っていたが、害のないレヴェルでの腫瘍の成長と、成長し転移する悪性腫瘍とを区別することは不可能だった。しかし、新たな研究でようやく、異常と診断されるケースの大部分を占めるがんの種類が判明した。さらにマンモグラフィーでは、致死的な腫瘍よりも無害な腫瘍が発見されやすいことも示唆されたのである。

2017年6月7日付けで『New England Journal of Medicine』誌に掲載された研究論文で、イェール大学の研究チームは、米国内の数十万人の乳がん患者の悪性腫瘍データの解析を行った。彼らは腫瘍を、通常の乳腺細胞との類似性や、特定のホルモン受容体の有無など、生物学的特徴にもとづいて分類した。

これにより、小さな腫瘍がどの程度大きく成長するか予想できることがわかった。しかし実際はほとんどが大きくならず、また悪性化した腫瘍は成長がきわめて速いので、たいていは患者自身がしこりを見つけている。

「ここ100年の常識は、小さな腫瘍のほうが早期発見できたぶん、予後が良好というものでした」と語るのは、論文共著者である外科医のドナルド・ラニンだ。「しかし、小さな腫瘍のほうが治療効果が高いのは、そもそも特性が根本的に異なるためだったのです」

この研究結果は、早期発見・早期診断の意義に大きな疑問を投げかけるものだ。研究者たちはここ数年、乳がんの過剰診断問題の解決に取り組んできた。誤診は、無意味な治療に患者の時間と費用を浪費させ、不安をあおるものだ。一方で、多くのヘルスケア企業が遺伝子検査という形で、予防治療を早期に受けるよう女性たちに促すようになっている。こうした遺伝子検査の結果はきわめて複雑で、怖くなった患者がやる必要のない無意味な治療にすがる恐れがある。

遺伝子検査は、精密医療(個人の遺伝子情報などを含む詳細な情報をもとに、より精密な対応を行う医療)の名のもとに、情報が多いほどより良い医療が受けられるという。だが、乳がんに関していうと、こうした触れこみは必ずしも正しいとはいえない。決定的な違いをもたらすのは治療法だ。ときにはそれは、「何もしない」という方法なのかもしれない。

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最終更新:7/14(金) 7:30
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