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オフィスチェアなのにシンプルで美しい──英デザイナーが椅子の「過剰な機能性」に一石

7/14(金) 19:10配信

WIRED.jp

ほとんどのオフィスチェアが、多数のレヴァーやボタンが付いた機能性を売り物にするなか、シンプルで美しい「パシフィックチェア」は異色の存在だ。英国のデザイナーふたりが考案した独創的な機構と、そこに込められた思想とは。

【 写真でみる 】シンプルで美しい「パシフィックチェア」

オフィスチェアが「タスクチェア」(仕事椅子)と呼ばれるのには理由がある。世界中の働く人々のために選ばれる椅子として、多数のタスクを一度にこなすからだ。

ラクな姿勢を取らせながらもしっかりと支えなければならないし、どっしりと安定する一方でしなやかな柔軟性も必要だ。さらに、多種多様な身体の形や大きさにも対応する必要がある。このような調整能力を実現していくうちに、目障りなレヴァーやボタンが多数取り付けられ、人間工学の専門家でも使いこなすのに苦労するような椅子が登場するようになった。

「機械のような家具」への“解毒剤”

これに対して「パシフィックチェア」は、一見すると人間工学的な装備がないことで人目を引く。流線型のシンプルなデザインで、レヴァーはひとつも見えない。座面の下をのぞき込むと、高さを上下させるためのプラスティック製ハンドルが2つある。さらによく見ると、革新的なヒンジ機構がボックスに収められていて、座った人の体重に合わせて背もたれの抵抗が自動的に調節されるようになっている。

パシフィックチェアは、英国のデザイナーであるエドワード・バーバーとジェイ・オズガビーが、シンプルであることを追究してつくった初めてのタスクチェアだ。「オフィスチェアは、機能性の表現に走りすぎています」とオズガビーは述べる。「わたしたちは美しい家具をつくりたいと思っただけです。皆さんが日頃座っている、機械のような家具の“解毒剤”となるように」

そうは言っても、オフィスチェアの場合はシンプルにするのは思った以上に複雑だ。たとえば、ハーマンミラーの「アーロンチェア」を考えてみよう。過去30年にわたって高級オフィスチェアのデザインを定義づけてきた、曲線が特徴的な椅子だ。エラストマー(ゴム弾性を有する工業用材料)のメッシュから成るアーロンチェアの形は、身体に沿い、しっかりした支えと楽な姿勢を同時にもたらすような高い弾力性がある。

それに比べると、パシフィックチェアには洗練された「重み」がある。プラスティックを最小限にとどめ、メッシュは使用せず、少し弓なりになった背もたれが座面の下に沈み込むことで、すっきりした明確なシルエットをつくっている。アルミニウム製のアームレストは、小さな飛行機の翼のように90度突き出ており、座面の下に接続されている。ほとんどの椅子とは異なり、座る人が両脚を自由に動かしやすいデザインだ。「ワーキングデスクのためだけの椅子ではありません」とオズガビーは言う。

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最終更新:7/14(金) 19:10
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