ここから本文です

「挑戦を楽しむ」英ラッシュの社会課題に向き合う調達

7/14(金) 21:28配信

オルタナ

英化粧品ブランド「ラッシュ」は1995年の創立時から、倫理的調達「エシカルバイイング」を理念に掲げている。同社の理念の中でよく知られているのが「動物実験反対」だ。日本でも紙袋に「NO!動物実験」のメッセージを印刷するなどし、道行く人たちが何気なく社会的メッセージの書かれた紙袋を持ち歩く様子は目を引く。(小松 遥香:オルタナ編集部/Sustainable Brands Japan)

「ラッシュで働くということは社会を変えるということだ」と同社の創立者マーク・コンスタンティン氏は話している。「ビジネスと社会的課題の解決の両立」が理念の同社は、まさにミレニアル世代に支持される企業の代表だ。ラッシュは現在、世界49カ国に展開しており、日本の市場規模は世界第3位。

ラッシュジャパンでは、2011年から東日本大震災の被災地の農業復興支援を行っており、福島県南相馬市の菜種油を使用した石鹸「つながるオモイ」や同県いわき市で栽培されたオーガニックコットンを使った風呂敷「Knot-Wrap(ノットラップ)」を世界中で販売している。

2017年4月末、福島県南相馬市といわき市を訪れるために来日した調達責任者のサイモン・コンスタンティン氏に話を聞いた。

「学ぶ」姿勢を大切に調達を行う

――ラッシュが調達において一番大切にしていることは何でしょうか。

サイモン: サプライヤーに直接会いに行き、原料がどのように作られているか、どういう環境で働いているのかなどを目で確認することです。そして、サプライヤーの方々と良い関係を築くことですね。

基本的に私たちのサプライチェーンには仲介業者はいません。ですから、調達を担う世界中のバイイングチームの社員には、「サプライヤーに直接会いに行く」ということを心掛けて貰っています。そうすることで、社員も知識を身に付けられますから。

――世界中から原料を調達している企業の中には、児童労働や人権侵害などの課題を抱える会社もあります。ゼロにすることを目指していても、今すぐにはできないというジレンマを抱えている企業もあります。

サイモン: 商品をつくる上での「透明性」は常に追求しています。サプライチェーンは「変化するもので、完結しないもの」だと思います。そのため、サプライヤーとの対話を密に行うことが大切だと考えます。

それから、私たちが調達で透明性を重要視していることを理解して貰えるサプライヤーから原料を調達していますし、そういうサプライヤーを探し続けるよう心がけています。

例えば、ラッシュでも最初は、パームオイル由来の石鹸素地を使っていました。しかし、パームオイルの製造過程には森林伐採などさまざまな問題があります。ラッシュでは2008年以降、石鹸素地にはヨーロッパ産のココナッツオイルと菜種油を使っています。ただ、商品の中にはパームオイルを含む界面活性剤を使用しているものがまだあります。現在、それをどうにかして解決できないか取り組んでいます。

また「サプライチェーン」というと鎖のようなイメージがありますよね。でも私たちは、「サプライチェーン」を鎖ではなくクモの巣のようなイメージだと考えています。パートナーシップや人とのつながりで、色んな方向にどんどん広がっていくようなものです。ですから、「お金を払うから作ってくれ」というような一方通行的な考え方でサプライチェーンが成立するとは思っていません。

――世界中にいるラッシュのバイヤーの方々に、どのように考えを伝え、浸透させているのでしょうか。

サイモン: 社員に対しても、研修などを通して、対話を重ねることで理解して貰うようにしています。一回で「エシカルバイイングポリシー」を理解して貰おうとするのではなく、少しずつで良いので理念を身に付けて貰えるように機会をつくっています。

――サイモンさんのご両親は、ラッシュの共同創立者であるマーク・コンスタンティン氏とモー・コンスタンティン氏です。サイモンさんのご兄弟も同じくラッシュで働いていらっしゃいますが、ご両親から「エシカルビジネス」についてどういう風に教えて貰ったのでしょうか。

サイモン: 両親からは、「学び続ける」ことの大切さを教えて貰いました。とにかく、昔から、両親もそうですが、弟も妹も私も、さまざまなことを話し合い、意見を交わし合う家族でした。ラッシュという会社も同じですね。

早い時期から、両親はビジネスの現場を私たちに見せてくれました。ラッシュのビジネス理念についても、学校で学ぶような机上の勉強ではなく、実務を通して学んできました。

1/2ページ

最終更新:7/14(金) 21:28
オルタナ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

第一特集「難民・人権問題でビジネスは無力か」
ゴールドマン・サックス証券、プロボノで支援
難民支援 独、米国、韓国の最前線を追う
企業の人権問題、成長・リスクの分水嶺