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松居一代の“YouTube暴露”は法的な罪に問われるのか――ネットの発言は現実世界よりも罪が重い!?

7/14(金) 16:00配信

週刊SPA!

 タレントの松居一代(60)が夫で俳優の船越英一郎(56)の不倫を疑い、ブログやYouTubeでプライベートを暴露。事態は泥沼化の様相を呈し、世間を賑わせていることは周知の事実だ。

「松居さんの発言は、船越さんの社会的信用や社会的評価を下げてしまう内容であり、これは名誉毀損に当たる可能性が高いと言えます」

 そう語るのは弁護士の佐藤大和氏(レイ法律事務所、東京弁護士会所属)。今年5月に芸能人の権利を守る「日本エンターテイナーライツ協会(ERA)」を設立した共同代表理事のひとりである。佐藤氏によると、その内容が事実か否かに関係なく、個人の社会的評価を下げるものであれば、名誉毀損になるかもしれない。

 しかし、昨今は芸能人やタレントに限らず、だれもが個人のSNSやブログなど、ネットで暴露するパターンも増えている。佐藤氏に、今回の件はもちろん、ネット上での暴露について法的な見解を伺った。

◆名誉毀損罪だけでなく、業務妨害や侮辱罪の可能性も……

「松居さんとすれば正当な主張なのでしょうが、性的なことなど、船越さんの評価を下げるようなプライベートな部分まで勝手に暴露してしまうのは、刑事上、民事上として問題になりうる、ということは意識するべきだと思います。もしも名誉毀損で船越さんから訴えられた場合、刑事事件だと犯罪行為になる可能性もあります。いきなり逮捕される、ということはないにせよ、事情聴取はされる可能性はあります。民事事件だと損害賠償が発生することもありえます。場合によっては、数百万円を取られる可能性もあるでしょう。それは、夫婦であったとしても例外ではありません」

 それだけではない。佐藤氏によると、今回の松居によるYouTube暴露は、一線を踏み越えてしまっている可能性があるのだという。

「“船越さんの仕事の邪魔をしている”という見方もできるため、名誉毀損だけではなく、業務妨害にもなりかねず、さらには侮辱罪にもあたる可能性があります。侮辱罪は、事実を摘示する必要はありません。たとえば、『ハゲ!』などと人を罵れば、侮辱罪にもなりかねません」

◆ネットの発言で警察や司法が動くようになった

 現在では、だれもがSNSやブログで情報発信できるようになった。自分の発言で世間から注目を集めたい、と思う人もいるだろう。ときには、他人を誹謗・中傷するような内容の書き込みやブログを目にすることも少なくない。とはいえ、これまでは「ネットでは何を言っても許される」「たかだかネット」という風潮があったことも事実だ。しかし、インターネットが普及しきった今、その認識ではリスクが高まりつつあるという。

 先日、俳優の西田敏行が違法薬物を使用しているという虚偽の記事をブログに掲載していた一般人の男女3人が、偽計業務妨害容疑で書類送検された。また、お笑い芸人のスマイリーキクチは、ネット上で凶悪殺人事件の犯人にされてしまい、誹謗・中傷被害を長期間に渡って受けていたことを告白した。佐藤氏は、この件についても言及する。

「西田敏行さんやスマイリーキクチさんのように、タレントや芸能人の方々の地位や名誉をいたずらに下げるような記事がネットに多くなってきています。西田さんの件では警察が重い腰を上げ、ようやく偽計業務妨害容疑で動いた。これは新しい動きともいえるでしょう。かつて、警察は現実社会のことに重きを置いて取り締まってきました。しかし、これからはさらにネットの世界での発言も同様に取り締まりの対象となってくるでしょうし、そうなるべきです」

 要するに、警察も司法も、現実とネットの世界がニアリーイコール(ほぼ一緒)だと認識しつつあるようだ。果たして、これが意味するものとは……。

「むしろ現実社会より、いわゆる“インフルエンサー”たちの発言のほうが拡散力が強い。いま、それだけネットの力が増しています。裏を返せば、ネガティブな内容の場合、被害の深刻度も高い。個人的には、名誉毀損、業務妨害については、ネットのほうが現実社会よりも罪は重いと捉えています。警察や検察庁、裁判所などは、さらにこの点の認識をしっかりとすべきですね」

◆芸能人に限らず、一般人も気を付けるべき

 ナインティナインの岡村隆史が、ラジオ番組のなかで「一般の夫婦間でも松居さんのような“嫁Tube”が流行る」と発言し、物議を醸した。いま芸能人と同様に、一般人がネットでプライベートな部分を暴露することが増えている。しかし、佐藤氏がこう警鐘を鳴らす。

「これは対話を放棄して、いきなり攻撃に出るようなもの。それが正当な行為か考えるべきです。若い男女カップルのSNSに多いのですが、付き合っていて仲良くしているだけならまだしも、別れたあとに性的な話を暴露している書き込みも多く見られます。これは、リベンジポルノの一端に値すると思います。相手が次の恋愛にうつるための自由や権利を侵害する行為。僕は厳しく考えるべきだと思います」

 では、私たちは今後どのようにインターネットと向き合えばいいのだろうか?

「もちろん、表現の自由は認められるべきことです。正当な範囲でブログやYouTubeで情報を発信することは問題ありません。しかし、その“表現の自由”がいき過ぎてしまうこともある。安易な発言が人を傷つける、言葉の暴力にもなることを意識しておくことが大切です」

 とはいえ、恋愛はもちろん、仕事やプライベートの愚痴など、普段は言えないことをSNSやブログ、匿名の掲示板などで吐き出したくもなるだろう。

「どうしても……という場合は、絶対に個人が特定できないようにする配慮が必要です。できるだけ抽象的にする。人々の自由と幸せ、笑顔を奪うことがないように心がけてください」

【佐藤大和(さとう・やまと)】

1983年、宮城県生まれ。レイ法律事務所代表弁護士。立命館大学法科大学院卒業。2014年にレイ法律事務所を設立。代表弁護士となる。著書『ずるい暗記術』『ずるい勉強法』(共にダイヤモンド社)、小説『二階堂弁護士は今日も仕事がない』(マイナビ出版)、新刊に『超楽仕事術 ラクに速く最高の結果を出す「新しい働き方」』(水王舎)がある。フジテレビ『バイキング』にコメンテーターとして毎週月曜日レギュラー出演中。

<取材・文/大橋博之、撮影/藤井敦年>

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最終更新:7/14(金) 16:00
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