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本田圭佑のメキシコでの幸運を祈る。ミラン番記者が明かす3年半の真実

7/15(土) 18:11配信

webスポルティーバ

 ACミランの伝説的DFであるパオロ・マルディーニは、ミランで2年目のシーズンを戦う本田圭佑についてこう述べていた。

【写真】ピザを食べるミラン時代の本田

「本田はいい選手ではある。だが、このレベルのリーグ(セリエA)にたどり着くのが少しばかり遅かったと言うべきなのだろう。ロシアリーグのサッカーには最大限の敬意を払うが、高いレベル、すなわち欧州屈指のリーグとは言えないはずだからね」

 そのマルディーニと共に、ミラン黄金期の最終ラインを担ったアレッサンドロ・コスタクルタも、「ミランのOBとして新しい10番に大きな期待を寄せるからこそ、あえて厳しい言い方をする」と前置きした上で、次のように語っていた。

「現時点での本田は“ミランの10番“どころか、単に“ミランの一員“としても認めるわけにはいかないレベルにある。さらに言えば、セリエAでプレーできる水準の選手ではないとさえ、僕は思っている。

 イタリアへ来て最初の2試合を見た時点で、『僕がいた当時のミランであれば、本田はペットボトルを運ぶ役さえも与えられなかっただろう』とも述べた。しかし本田には、僕の言葉を覆(くつがえ)してもらいたい。このコスタクルタを見返してもらいたいと思う」
 
 上に記したコメントのすべては、2014年5月当時のものである。

 そして、迎えた2014-15シーズン、本田はコスタクルタの“期待“に応えるように、開幕7戦で6ゴールを記録した。「ついに実力を発揮し始めたか」とも思われたが、周知の通り、以降の本田は急激な下降線をたどっていくことになる。

 確かに、ここ数年のチームの凋落は著しいが、それでもなお“ACミランの10番“が持つ意味は軽くはない。だからこそ、見る者は相応のプレーを期待する。特に、長くミラン本拠地であるサン・シーロに通うファンは、“かつての10番たち“と“目の前の10番“とのギャップに失望を募らせていった。

 本田がミラノに来て3ヵ月弱が過ぎた頃、すでにして評価が地に落ちていた状況下で、私は自らの記事にこう書いていた。

「それでも、本田を信じる」

 率直に言って、技術的な意味で確たる裏づけがあったわけではない。だが、他の選手とは明らかに一線を画す彼の真摯な姿勢や、高貴なまでのプロ意識を間近で見ていたからこそ、私はひとりのミラン番記者として、ひとりの熱烈なミラニスタとして“新たな10番“の奮起を心の底から期待していた。

 しかし状況は厳しかった。私の取材メモにはこう記してある。

「ミランを50年にわたって見続けてきた、80歳をはるかに超えたファンのひとりは、今年(2014年)3月当時、寂しげな表情と怒気を交えながらこう語っている。『今すぐ本田はミラノを去るべきだ』『クラブ史上最低の10番』『50年目にして、私は初めてサン・シーロへ通うことをやめた』」

 財政難にあえぐクラブと、次々と代わる監督。負けが負けを呼ぶという負の連鎖に陥ったチームで迎えた2015-2016シーズン、シニシャ・ミハイロビッチ監督の指揮下でも本田は精彩を欠く。リーグ30戦に出場し、得点はわずかに「1」のみだった。

 このシーズンに、“かつてのライバル“であるユベントスの10番を背負ったポール・ポグバは、リーグ最多の12アシストを記録。同じく、ユベントスのエースとなったパウロ・ディバラは、リーグ2位の19ゴールを挙げている。彼らとの違いはあまりにも大きすぎた。
 
 2016年1月には、同じポジションのスソがジェノアへレンタル移籍し、左FWの地位を自らのものとするが、そのプレーの質は......。サン・シーロのゴール裏に陣取るティフォージ(熱狂的なファン)たちの、容赦のないブーイングがすべてを物語っていた。

 そんな中で、いわゆる普通のファンたちが本田に罵声を浴びせることは、試合を経るごとに少なくなっていった。もはや「現10番への期待は無意味だ」と、多くのファンが諦めにも似た想いを抱くようになっていたからだ。

 失望を抱く以外になかった試合は無数にあるが、2016年1月に行なわれた、イタリア杯(コッパ・イタリア)準決勝1stレグが特に印象深い。相手はアレッサンドリア。当時、セリエAでもBでもない、セリエC(3部)に属していたクラブである。その試合でミランは1-0の勝利を収めるも、当の10番はといえば、セリエBでに出場経験すらないDF(左SB)に封じられ、何もさせてもらえなかった。

 その試合を私たちミラニスタがどういう気持ちで見ていたか。もはや言葉にする必要はないだろう。

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