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40代会社員が大胆な転身に及び腰になる事情

7/15(土) 5:00配信

東洋経済オンライン

 「世界の価値観に触れ、働き方や家族のあり方を再定義したかった」

 そう話すのは脱サラし、妻と子ども2人を連れて、家族での世界放浪に踏み切った佐藤邦彦さん(33)だ。

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 もともとリクルートで企業の採用支援に携わっていた佐藤さんは、働く個人でなく、企業の視点で決まる雇用の仕組みに疑問を感じていた。そんな中、2つの出来事が転機となった。

 1つは27歳のとき、子どもが生まれ、3カ月間の育休を取得したこと。仕事から完全に離れ、家族と過ごす日々。「それまで夜中までの残業も普通だったが、育休中に自分にとって何が大事かを考える習慣がついた」(佐藤さん)。もう1つは、仕事でシェアリングエコノミーの新規事業開発に携わったこと。フリーランス、パラレルキャリアの人たちと接し、会社員の自分にはない自由な働き方に刺激を受けた。 

 「日本ではキャリアや働き方に暗黙の“べき論”があるが、それはおそらく壊れていく。今後、大事になるのが個人の価値観になる」(佐藤さん)。妻と2人の子を連れて旅に出て、世界中の価値観を肌で感じよう――。今春、旅に出た佐藤さんの家族は、夏までは欧州、秋以降はアジアを回る予定だ。

■日本でどうすれば実践できるか

 100年人生時代がやってくる――。来るべき超長寿社会に向け、既存の「教育→仕事→引退」の3ステージの人生ではなく、生涯に複数のキャリアを持つ“マルチステージ”の人生を勧めたのが、英ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットンらが著した『ライフ・シフト』(東洋経済新報社)である。

 『ライフ・シフト』では、新しい人生の「ステージ」を3つ紹介している。1つは、人生の旅をして、自分を再発見する「エクスプローラー」。もう1つは、組織から独立し、自身でビジネスを立ち上げる「インディペンデント・プロデューサー」。そして最後が、異なる種類の活動を同時に行う「ポートフォリオ・ワーカー」だ。冒頭の佐藤さんは、まさに「エクスプローラー」として、新しい自分の価値観を模索しているといえる。

『ライフ・シフト』は昨年10月の刊行以降、日本でも多くの反響を呼んだが、同書は日本の状況に合わせて書かれた本ではない。そこで小社には読者からこんな問い合わせが多く寄せられた。「日本でライフ・シフトを実践するには、どうすればいいのか」――。『週刊東洋経済』はそうした声に応えるべく、7月15日発売号(7月22日号)で「ライフ・シフト実践編」を特集。日本での実践例を多く取り上げている。

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