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ショーツはロングパンツより安いわけではない理由

7/16(日) 15:10配信

エスクァイア

皆さんはショーツとロングパンツの価格を比較したことがありますか?

 皆さん、これからショーツを買いにいくと想像してください。あなたはバケーション用に合わせたい1着、または夏物のコーディネイトにマッチするものを探しているとします。そんなとき、今季なら履き心地のいいコットンツイルやチノのショーツなんかがおすすめとなるでしょう。
 
 そこで多くの人は、「これは大きな出費にはならないな!」と、思うかもしれません。「1本のロングパンツを買うほどの投資は必要ないだろう」と…。 
 
 でも、商品タグに明記されているプライスをチェックしてみれば…実はロングでもショートでも、パンツの価格にそれほど大きな差はないのです。そこであなたはさらに、「でも、なぜ?」と驚くことでしょう。「こんなに生地の量が違うのに~!」と。またその逆に、「それって本当!?」と、訝(いぶか)しがる人も少なくないはずです。 
 
 
 そこで私たちは、メンズブランド「Unis(ユニス)」のデザイナー、ユニス・リーから話を聞きました。彼女が明かしてくれた、パンツの価格設定にまつわる作り手の視点をここにご紹介いたしましょう。

ユリス・リーは親切かつ わかりやすく説明してくれました。

 「ロングでもショートでも、パンツ1本を作るのに必要な生地の量は、実はそれほど変わりません」と、リーは話します。彼女は、彼女のブランドのショーツとロングパンツを例に説明してくれたのです。

 彼女の説明を要約しましょう。1本のパンツでいえばロングだと約1.5m、ショートだと1.2mの生地が必要とのこと。これはつまり、論理的に考えても1メートルあたり10ドルの生地を使用していると考えれば、ほんの3ドル程度しか金額の差がないことを意味しています。見た目以上に、使う生地の量は劇的に違わないのです。
 
 
 「パンツ作りの上で使用するほとんどの生地が、レッグの丈部分ではなく、上部のウエスト部分に使われているからです」と、彼女は教えてくれました。さらに… 
 
 「パンツの作り・構造を想像してみてください。カットや縫製などが複雑な構造で仕上げられているというのは、ほとんどがウエストや股の部分、上部に集中しているのです。価格というものは、労働力と労働コストへの対価であることは皆さんもご存じかと思います。しかるにパンツ1本を製造する労働力は、ショートでもロングでも同じということになるのです」とのこと。


 お手持ちのアイテムで構いません。実際にロングパンツとショーツを手にとって裏返してみましょう。そして、「縫製はどのように施されているか?」「ウエストバンドやジッパー、ポケットのような複雑なエリアはどうなっているか」を注意深くチェックしてください。その次に、レッグ部分をご覧になれば、その差を明確に理解できるはずです。レッグ部分はただ真っ直ぐ、シンプルに縫ってあるだけだということが確認できるはずです。 
 

 「複雑な構造、手の込んだディテールにこそ、コストはかかるものです。パンツのレッグ部分はご覧のとおり、縫製という工程において最も簡単な作りではないでしょうか」と、リーは加えて説明してくれました。 
 
 
 ちょっと話を飛躍させますが、シャツの半袖と長袖の価格設定の差に関しても、同様の概念が当てはまります。ただシャツの場合、長袖は半袖に比べ、カフスの仕上げなど複雑な工程が加わってきます。そこがパンツと違うところ。よって、パンツよりもシャツのほうが明確に、かつ、ある意味納得のいく価格差が生じるわけです。 
 

 「ショーツに対して、多くの消費者がロングパンツよりも安いというイメージをもっていることは理解しています。況してやウィンターコートやブーツに比べ、それほどの投資にならないとイメージするはずです。でも、価格設定のポイントは見える範囲の生地量ではなく、ほとんどが製造工程と関係していることを理解してほしいのです」と、続けてコメントしてくれました。 
 
 
 つまり服の価格設定というものは、見た目の生地量とはあまり関係していないのです。今後はぜひとも、そういった裏事情を考慮した上で、手に取ったショーツの価格が投資に値するかいなかを吟味してください。

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最終更新:7/16(日) 15:10
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