ここから本文です

ベネズエラの石油埋蔵量は反転へ --- 岩瀬 昇

7/16(日) 15:48配信

アゴラ

業界専門誌Plattsが興味深い記事を掲載していた。7月10日06:34UTCにアップしている “Venezuela’s oil reserves kick into reverse” という記事で、ノルウエーのコンサル会社Rystadtが先週発表した報告内容を紹介しているものだ。まさに『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』という問題だ。

筆者がいつも参照している「BP統計集(BP Statistical Review of World Energy)」では、ベネズエラに関しては政府発表の「公式」数字を採用しているので、6月に発表された2017年版でも、ベネズエラが世界で最大の確認埋蔵量(90%以上の確率で回収可能)保有国となっているが、これって、ホント? という話である。

記事の要点をかいつまんで紹介しよう。

・ベネズエラが、オリノコベルトの超重質油を基に、世界最大の埋蔵量を保有していると主張していることは、長いあいだ業界内では疑問視されていた。3,000億バレル以上あるとするが、否定論者は、巨大な量を誇るビチュメン(アスファルト状のもの)は取り扱いがむずかしく、生産コストが高いので、大げさに誇張されていると信じている。

・この2年間にわたる原油価格大暴落で、ベネズエラの主張はますます疑わしいものとなっている。さらに現在の政治、経済上の苦境が回収可能な埋蔵量は大きく減少している、とある研究結果は伝えている。

・ノルウエーのRystadt Energyは先週、ベネズエラの回収可能な石油資源(total oil recoverable resource)は24%減少して750億バレルとなっており、公式の確認埋蔵量3,023億バレルの1/4以下だと発表した。

・BP統計集はあやふやな公式情報源が「確認埋蔵量」としているものに基づいているが、Rystadtは石油技術協会の基準を適用し、より厳格に分析していると主張している。これによると、ブラジルよりも少ない80億バレルで、「確認(proved)」と「推定(probable、50%以上の確率で回収可能)」を合わせたいわゆる「2P」でみても170億バレルだ、となる。

・なぜこのような大きな食い違いが発生しているかといえば、オリノコの超重質油の取り扱いが原因である。

・過去に「確認埋蔵量」が追加されたのは、回収技術の向上と石油価格の上昇によるものだった。チャベスが大統領に就任してから増えているのだが、彼は2011年に、サウジを抜いて世界最大の埋蔵量保有国だと宣言した。超重質油は、ナフサのような軽い留分をブレントするか、アップグレードしないと精製できないが、2011年の100ドル時代には問題だとは思われなかった。

・RystadtのアナリストAditya Raviは「下方修正の主因は低価格。当初の試算より早いスピードで減少している」という。

・たしかにベネズエラの公式埋蔵量は、高価格が楽観論を支えていた2000年から急増しているが、チェベスが1998年に権力を握ってから、生産量は反対方向に(減少に)向かっている。Plattsによれば、2005年初めには270万BDだったが、2017年5月は194万BDだった。

・新規の発見はなく、オリノコ超重質油とブレンドするための中軽質油の生産は減っており、2015年からはブレンド用の軽質原油の輸入を強いられている。アップグレードするには何十億ドルの投資が必要だが、外資からの投資は止まっている。


編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2017年7月14日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちら(http://ameblo.jp/nobbypapa/)をご覧ください。

岩瀬 昇

最終更新:7/16(日) 15:48
アゴラ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

アゴラ-言論プラットフォーム

アゴラ研究所

毎日更新

無料

経済、ビジネス、情報通信、メディアなどをテーマに、専門家が実名で発言することで政策担当者、ジャーナリスト、一般市民との交流をはかる言論プラットフォーム