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【世界水泳】世界が乞う名将、井村雅代は何が凄いのか 「なぜ、できない」で終わらない伝える力

7/16(日) 14:33配信

THE ANSWER

【短期連載第2回】教え子の元五輪代表・青木愛さんが語る「シンクロの母」の眼力

 水泳の世界選手権(ブダペスト)で大会初日からプールを華やかに彩っているシンクロナイズドスイミング。世界の頂を目指す日本代表「マーメイドジャパン」を率いているのが、言わずとしれた井村雅代ヘッドコーチ(HC)だ。

 長年、日本シンクロ界を牽引し、世界的な強国に育て上げた。その後に指導した中国代表、イギリス代表でも結果を残し、14年から日本代表コーチに復帰。世界的に評価される「日本シンクロ界の母」は、なぜ、ここまで強いチームを作れるのだろうか。

 井村HCの下、08年北京五輪で5位入賞した青木愛氏は恩師の凄みについて、こう語る。

「一言では言い表せませんが、何と言っても指導者としてのオーラがすごいです。そして、選手のちょっとした変化にも必ず気付いて下さいます」

 一般的にイメージされるのが、練習中に選手を激しく叱咤するシーンだろう。しかし、実際の指導には厳しさの裏にある細やかさを感じていたという。

「全てが緻密です。できなかったら、できるまでとことん付き合う。なぜできないのか、とことん突き詰める。そして、選手にとっては『確かに』と思うことばかりなので、逃げられない。このように、選手を突き詰め、『やるしかない』という状況にし、とことん付き合う。そのようなサイクルで選手を成長させて下さる印象です」

 選手の「なぜ、できないのか」という思いのままで終わらせず、徹底的に向き合う。こうして数々の名選手を生み出し、「シンクロ・ニッポン」を築き上げた。

世界的評価が採点にもプラス?「『井村HCが見ているチーム』と審判も意識する」

 選手も納得してしまう弱点を見抜く「眼力」はもちろん、それを「伝える力」も高かったという。

「できない理由をかみ砕いてかみ砕いて、わかりやすく説明して下さる。選手にとって『なんでできないんだろう』というモヤモヤはなかったです」

 井村HCはイギリス代表、中国代表の指導を経て、14年から日本代表に復帰。昨年のリオデジャネイロ五輪では、チーム、デュエットともに銅メダルに導いた。名将の復帰によって、変化した部分はあるのだろうか。

「まずは選手が引き締まったと思います。もちろん、技術もですが、メンタル面もさらに鍛えられているはずです。自分たちが何を目指していかないといけないのか。その答えへ導くチームマネジメントも凄く上手な方です」

 印象が左右する採点競技。世界的に評価されてきた「マサヨ・イムラ」の存在がプラスに影響する面もあるという。

「審判も『井村HCが見ているチーム』という目で見ます。過去メダルに届かなかった中国をメダル獲得に導かれたことも、もちろん指導力が一番ですが、そのような『井村HC』という存在の大きさやイメージも少なからずあったと思います」

 帰ってきた名将とともに世界の頂を目指す日本。「井村のDNA」を受け継ぎ、世界に驚きを与えることはできるだろうか。

◇青木 愛(あおき・あい)

 地元の名門クラブ・京都踏水会で水泳を始め、8歳から本格的にシンクロナイズドスイミングに転向。ジュニア五輪で優勝するなど頭角を現し、中学2年から井村雅代氏(現・代表HC)に師事する。20歳で世界水泳に臨む日本代表選手に初選出されたが、肩のケガにより離脱。その後も補欠に回ることが多く、「未完の大器」と称された。北京五輪代表選考会では劣勢を覆し、代表の座を獲得。欧米選手に見劣りしない恵まれた容姿はチーム演技の核とされた。引退後は、メディア出演を通じてシンクロに限らず幅広いスポーツに携わっている。

ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer

最終更新:7/16(日) 14:33
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