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絶滅動物がよみがえる? 毛1本からDNAを保存できる「冷凍動物園」が現実に

7/16(日) 18:00配信

週刊女性PRIME

人気動物がそろって絶滅危機

 動物園の人気動物の多くは絶滅危惧種であることをご存じだろうか? 

 例えば、東山動植物園が2年ごとに実施している『東山動植物園人気動物ベスト10』(2016年統計)では、第1位ゾウ、第2位コアラ、第3位ゴリラ、第4位キリン、第5位ライオン、第6位ペンギン、第7位トラ、第8位シンリンオオカミ、第9位ホッキョクグマ、第10位カバという結果。国際自然保護連合(IUCN)による絶滅危機度合いを示す指標となる「レッドリスト」と照らし合わせると、最も絶滅する可能性がある絶滅寸前(CR)と評価されているのがゴリラとスマトラトラで、絶滅危機(EN)がアジアゾウ、フンボルトペンギン。残りはシンリンオオカミを除き、すべて危急(VU)だ。

 動物園は、絶滅危惧種に指定されている動物の前に看板を設置して周知したり、アメリカバイソンやハクトウワシなど、北米大陸で絶滅危機から回復した動物をまとめて展示するなどして“絶滅”にフォーカスした展示を行っているが、加えて個人のユニークな活動も出てきた。広告制作業の佐々木シュウジさんの“絶滅動物園プロジェクト”だ。

「例えばゴリラは今、日本に20頭しかいないのに意外と知られていないんですね。そんなことをもっと広く知らせるために2010年から活動を始めました。昨年は『東山絶滅動物園』という写真集を出したのですが、それをきっかけに危機的状況に気づきました」

 佐々木さんは、15世紀末から始まる大航海時代をひとつの区切りと考える。

「ヨーロッパの人たちが新大陸を見つけて進出し、もともと住んでいた人から土地を奪うなかで、動物たちもどんどん減っていくんですね。平和な時代は富の象徴として希少動物を飼ったり、毛皮をとったり、戦争や内乱、環境破壊で動物のすみかを奪って……。15世紀末以降から近代にかけては人口爆発や気候変動で状況はより深刻になっています。動物が絶滅したのはほとんど人間のせいです」

 佐々木さんは本業のかたわら、毎週土曜日に『絶滅動物園ツアー』を開催したり、新たに写真集『上野絶滅動物園』を制作したりと精力的な活動を続ける。

「ある日のツアーで、日本では東山動植物園に残り1頭しかいないソマリノロバの話をしました。恋する相手も愚痴る家族も、帰る故郷も政情も定まらないので帰ることもままならない。圧倒的な孤独をひとりで抱えて毎日過ごしている寂しさはいかほどか、と説明すると涙ぐむ人もいました」

 こうした動きとは別の科学的手法による取り組みも進む。絶滅危惧種が消滅する前にDNAを保存し、将来的に生命体を復活させようというプロジェクトである。これは「冷凍動物園」などとも呼ばれ、すでに国内では上野動物園などに、DNAを保存したり解析する装置が常備されている。

 動物行動学者の新宅広二先生によれば、

「まさに『ノアの方舟(はこぶね)』のようなことをしようとしているんですね。マイナス20℃の冷凍庫があれば、液体窒素の中に卵子とか精子などの生殖細胞、それどころか死体や毛1本でも採取して取っておければよいということになります」

 ただ、技術的にできるからといって、何でもしていいというわけではない。

「これを子どもに話すと、“絶滅しても何とかなるんだ!”と誤解する。マンモスが復活すると言えば、大人も子どもも興味を持ちますよ。でも“なんで絶滅してしまったか”という過去を踏まえ、一線を越えちゃいけない。慎重にやるべきだと思います」(新宅先生)

最終更新:7/16(日) 18:00
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