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なぜ「あまちゃん」はブームになったか 「朝ドラ」を読み解く一冊

7/16(日) 7:00配信

Book Bang

 NHK連続テレビ小説、通称「朝ドラ」の傑作『あまちゃん』が放送されたのは2013年度前期だ。平均視聴率は20・6%。放送当時、それまでの10年間では堀北真希主演『梅ちゃん先生』の20・7%に次ぐ高い数字となった。

 しかも反響はそれだけではない。新聞や雑誌で何度も特集が組まれ、ネットでも連日話題となった。関連CDがヒットし、DVDの予約は通常の10倍。また、『あまちゃん』の放送終了後、寂しさで落ち込む人が続出すると言われ、「あまロス症候群」なる言葉まで生まれた。

 では、なぜ『あまちゃん』は一種の社会現象ともいえる広がりをみせたのか。木俣冬『みんなの朝ドラ』によれば、それは「総合力」の成果だ。宮藤官九郎によるポップな脚本。ヒロインの能年玲奈を囲むように配された、小泉今日子や薬師丸ひろ子など80年代アイドルの起用。さらに「影武者」という異色の設定にも丁寧な分析が為される。

 本書では、ほかに『ごちそうさん』『花子とアン』『あさが来た』『とと姉ちゃん』などが語られるが、圧巻は著者が「朝ドラを超えた朝ドラ」と絶賛する『カーネーション』だろう。何より「健全な朝ドラの世界に背徳感をもたらした」こと。またヒロインの夢物語ではなく、「現実」を描いた点も評価している。

 朝ドラが女性だけのものから、まさに「みんなの朝ドラ」となっていくプロセスを明かしながら、その魅力を解読したのが本書だ。

[レビュアー]碓井広義(上智大学文学部新聞学科教授)
1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年にわたりドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授、東京工科大学教授などを経て2010年より現職。専門は放送を軸としたメディア文化論。著書に「テレビの教科書」ほか。毎日新聞、北海道新聞、日刊ゲンダイなどで放送時評やコラムを連載中。[公式サイト]碓井広義ブログ

新潮社 週刊新潮 2017年7月13日号 掲載

新潮社

最終更新:7/16(日) 7:00
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