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広島、連覇へ独走も忍び寄る不安。阪神&DeNAが五分な要因、浮き彫りとなる王者の弱点【セ後半展望】

7/17(月) 10:01配信

ベースボールチャンネル

 マイナビオールスターゲーム2017も終わり、いよいよペナントレースは後半戦に突入する。セ・リーグは広島東洋カープが2位阪神タイガースに8ゲーム差をつけて独走態勢。パ・リーグは東北楽天ゴールデンイーグルスと福岡ソフトバンクホークスが2強を形成、埼玉西武ライオンズ、オリックス・バファローズが追う展開だ。ここからどうペナントは変化していくのか。今回はセの後半戦を展望したい。

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■広島は甲子園で1勝しかできていない

 広島が2位・阪神に8ゲーム差をつけて、独走態勢に入っている。

 もはや、優勝は決まったかのような報道がされているが、果たして、そううまくいくのだろうか。

 広島の攻撃力は際立っていると言える。

 田中広輔内野手と菊池涼介内野手が出塁し、3番の丸佳浩はOPSがリーグトップで、打率、打点、本塁打で4番の鈴木誠也と競っている。ブラッド・エルドレッド、新井貴浩、松山竜平らに長打があり、安部友裕、西川龍馬らが伏兵から主役へと成り上がるべく随所に活躍を見せている。

 投手陣も悪くない。昨季最多勝の野村祐輔がエース級の存在感を示し、薮田和樹、ややペースは落ちたものの岡田明丈、大瀬良大地と枚数が揃っているのだ。このほど、クリス・ジョンソンも復帰した。

 ただ一つ懸案事項なのが、他球団との対戦成績だ。

 実は2位阪神には5勝6敗と負け越し、3位横浜DeNAベイスターズとは五分なのだ。それも対DeNAはホームで4試合多く戦っているなかでの成績だ。

 リーグ戦の性質上、下位からしっかり取りこぼしがないから首位に立てているのだが、阪神とDeNAと互角になっている背景を見逃してはいけないだろう。

 そこに付け入るスキがあるかもしれないからだ。

 ざっと広島と両チームの対戦を振り返ると、良く打たれているのと同時に打ってもいるため、とにかく乱打戦が多い。

 阪神戦では、甲子園で1勝しかできておらず、乱打戦の末に、最後は救援陣に抑え込まれて敗れている。5月5、6、7日の3連戦では26失点を喫した。うち2試合では4点差以上を逆転負けしている。甲子園では阪神打線の勢いを止められない印象がある。

 一方、DeNAとは互角の戦績になっているが、うち3勝が野村祐輔によるもので、シーズン当初DeNA打線を牛耳った岡田は、6月28日の試合でKOされた。

 阪神とDeNA打線に共通するのは存在感のある左打者がいることだ。


■DeNAラミレス監督は広島戦に自信あり?

 阪神は糸井嘉男と福留孝介、DeNAは筒香嘉智だ。糸井と福留は、打線の中では並ぶことが多く、筒香の後は右打者2人がいるが、逆手に取ると、ワンポイントなどで封じる策を講じることができる。ところが、広島には勝負所で起用できる左腕がいないのだ。

 広島にスキがあるとしたら、この部分だ。

 昨年、日本シリーズを勝てなかったのも、西川遥輝や近藤健介、大谷翔平など左打者が揃う北海道日本ハムファイターズ打線に対抗できる左投手がジョンソン一人しかいなかった。試合が勝負所を迎えた時に勝負手を打てない投手層の偏りが浮き彫りになっていた。

 阪神とDeNAは左右打者を自在に並べることができ、守る側になっても、中継ぎ陣に左右の投手を豊富にそろえている。だから、先発が崩れて乱打戦になった際、広島はやや劣勢を強いられてしまうのではないか。

 当然、緒方孝市監督が先を見据えていないわけではない。オールスターブレイクに入る前の7月11日、2年目左腕の高橋樹也をDeNA戦で登板させた。高橋樹は筒香、ホセ・ロペス、宮崎敏郎の3人をきっちり抑えた。序盤にも1軍にいた高橋樹はその経験を生かして、今後、ワンポイントの起用を睨んでいるのかもしれない。

 もっとも、4位以下の動向も気になるところだ。

 オールスター前を3連勝でフィニッシュした読売ジャイアンツは不気味な存在だろう。菅野智之、田口麗斗、マイルズ・マイコラスの3人が安定した力を持っている。打線が一時期の不調を脱した。広島にとっては、対巨人の圧倒的優勢が止まったとき、2、3位との差は縮まっていくことになる。

 2位・阪神に8ゲーム差がある現状、広島が優勝に近いのは間違いない。たとえこのまま独走したとしても、阪神・DeNAとの対戦成績は現状と大きく変えたいところだろう。対戦成績で負け越した状態でポストシーズンを迎えるのは、避けたいはずだ。

 DeNAのアレックス・ラミレス監督は「うちのチームは広島との対戦成績は悪くないから大きな問題はない」と話していた。下位との取りこぼしを減らしていけば、十分に渡り合えるという算段があるからだろう。さらにいえば、苦手意識がなければ、クライマックスシリーズ(CS)の短期決戦では勝負がどちらに転ぶか分からない。これは阪神も同じ気持ちのはずだ。

 17日から始まる後半戦、広島は阪神との甲子園3連戦からスタートする。

 独走優勝と並行して2、3位チームに圧倒的な差を見せつけられるだろうか。

 裏を返せばそこだけが焦点になるくらい、広島には隙がない。


氏原英明

ベースボールチャンネル編集部