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小笠原文雄・上野千鶴子対談 「持続的深い鎮静」は抜かずの宝刀

7/18(火) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 社会学者・上野千鶴子さんと、『なんとめでたいご臨終』の著書がある日本在宅ホスピス協会会長・小笠原文雄さんが対談。在宅医療の大問題を語り合った。

上野:私が小笠原さんと知り合った後で気がついたのは、小笠原さんがペインコントロールのプロ、モルヒネ使用の熟練者だということでした。

小笠原:ありがとうございます。在宅医療を行う上で、ぼくがいちばん大切にしているのは、「痛みを取ること」と「痛みへの不安を取ること」なんですね。そのためには、モルヒネの特性を熟知することが大事なんです。

上野:今回の『なんとめでたいご臨終』では、その熟練者に、「夜間セデーション(鎮静)」と「持続的深い鎮静(終末期鎮静)」の違いについて非常に詳しく書いてもらったのは、とてもよかったと思います。この2つは全く別ものですね。

小笠原:はい、同じくセデーションといっても、「持続的深い鎮静」は鎮静薬を使って患者に永遠の眠りを与えることで、耐えがたい苦痛を取る医療です。それゆえに“安楽死”と間違われることもあります。一方の「夜間セデーション」は、夜、不安や痛みで眠れない患者が、睡眠薬でぐっすりと眠れるようにし、朝が来ると目覚めるという、あくまで人間らしい生活を送るための医療です。

上野:今だから明かしますが、実は小笠原さんから最初に夜間セデーションの話を聞いた時、素人ながらこれはやばいと思って書かなかったんです。私だって、聞いたことを全部書くわけじゃありません(笑い)。それなのに先生は、講演などで気軽に話されるので、ひやひやしていました。誤解されませんか?

小笠原:その2つの違いを知らないかたには、「小笠原内科はセデーションばっかりやっている」とか「ガイドラインに沿っていない」とか、誤解されているかもしれませんね。

上野:ほら、やっぱり! でも今回、その2つがはっきり違うということがわかった。しかも「持続的深い鎮静」を「抜かずの宝刀」と書いていらっしゃる。この言い方、うまいです。座布団一枚(笑い)。

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