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エマニュエル・トッド理論で読む「日本会議」。彼らの目的は“直系家族”の復活

7/18(火) 8:00配信

BEST TIMES

英国のEU離脱など、世界情勢の大きなうねりを読み解いてきた、エマニュエル・トッド理論。それを学ぶ意義はわたしたち日本人にとっても大きい。新刊『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』を上梓した鹿島茂氏が、トッドの家族システム理論から日本を見通すことの重要性を解く。

日本会議は日本“直系家族”会議

  安倍首相が心酔しているお祖父さんの岸信介元首相※は、山口県の役人だった佐藤家の次男です。それが父親の実家の岸家に養子に入り、東京に出てエリート官僚になった。先ほど言った移民や移住者はより直系家族的になるという原則通りになった。

(※編集部注 直系家族からはじき出された次男、三男ははじき出されて歴史をつくる原動力となる。安倍首相の祖父、岸信介氏のストーリーからして直系家族的である)

 安倍さんのブレーンや取り巻きは、旧生長の家出身者からなる「日本会議」のメンバーが中心ですね。彼らは「日本“直系家族”会議」と言えるほど、主張の中身は直系家族理念そのもの。

 ちなみにフランスでもナチス占領下にペタン政権というのができたことがあります。これはパリ盆地に典型的な平等主義核家族とは異なる、フランスの直系家族の理念を背負っていて、ペタン政権の標語は「国家・家族・労働」だった。日本会議が憲法改正論議で「個人の尊重や男女の平等ばかりでなく、家族の関係を憲法に定義すべきだ」と主張しているのと同根ですね。

天皇制はどうか

 ただ、天皇制に関しては直系家族とは元々は全然関係なかったんですよ。直系家族理念をもとに250年以上日本を支配した徳川幕府を倒した明治政府が、支配原理を模索するうち。プロイセンの直系家族システムにヒントを得て、天皇家を直系家族の「モデル」にしてしまったんです。徳川家康が士農工商の身分制度を縦軸に階層化した直系家族制度。それをご破産にした「革命政権」だったのですが、結局直系家族に戻って、頂点に家長としての天皇を置いたわけです。

 そもそも天皇家は男系ではありません。日本会議的な「男系を維持し直系家族的な家を維持するのが日本人の理想」という主張はノスタルジーとしてはありえても、現実的には無理。女子識字率が50%を超えた社会では絶対に無理なんです。

 政治的思想は後戻りや反動が効いても、社会革命が起こったらもう後戻りは効かない。女子は小学校卒業したらそれ以上教育は必要ないとか、大学には進学させないとか、子供は3人以上作れ、みたいな反動的強制でもしない限り、反動は無理。中国のような強権をもってしも難しいのに、一度民主主義を是認してしまった国では絶対に無理です。マッカーサーが核家族理念でつくった日本国憲法を、もう一度直系家族理念で作り直せと言っても、女子の識字率が50%を超えたら後戻りは効かないのです。

構成:大平誠(ノンフィクションライター) 撮影:高山浩数

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