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ゼロから「何か」を生み出させる絵本の読み方

7/18(火) 18:00配信

BEST TIMES

長男を東大とイェール、次男を難関国立大学医学部、わが子をそうそうたる名門校に送り込んだ母・小成富貴子さんの教育法。初の著書『究極の育て方』より、ユニークな絵本の読み方を紹介します。キーワードは「自分の頭で考える」こと。

『桃太郎』の続きを考える

  3歳くらいからは、子どもたちに絵本の続きを考えさせました。これはほとんど毎晩のようにしていました。

 例えば『桃太郎』。「鬼ヶ島から帰って来た桃太郎は、それからどうしたの?」と問いかけます。

 あるとき遠くの村まで旅に出かけた桃太郎。向かいから歩いてきた旅人に「あっ! 桃次郎さん! ご無事で何より」と話かけられてびっくり。「いえいえ、私は桃太郎。お人違いではありませんか?」不思議に思いながら家に帰り、おばあさんにこの一件を話すと、「桃太郎よくお聞き。お前には今までだまっていたけれど、実は桃は3個流れて来たんだよ」と言うではありませんか。
 ……という風に話をふくらませます。続きは奇想天外なものほど面白く、今まで考えたこともなかった新事実に更にワクワクドキドキ感が高まります。

 新しい絵本よりも、何度も何度も読んでよく知っているお話の方が、登場人物がイキイキと動き出して楽しんでくれます。

オリジナル・ストーリー『山城けんぞう』

 更にわが家では「続き」どころではなく、全く新しい「新作」をつくることもよくありました。

 一番人気があったのは『山城けんぞう』物語。提案者は主人。「山城けんぞう」という探偵のハードボイルドなお話です。ハードボイルドなのにへぼ探偵で失敗ばかりしているという設定でした。
 これを読んでくださっている方は「誰?」と頭にはてなマークが浮かんでいると思います。この「山城けんぞう」というキャラクター誕生には、ちょっとしたエピソードがあります。

 小成(  こなり)という私たちの苗字は、なかなかちゃんと読んでもらえません。外食などで順番待ちをするときに名前を記入すると、必ず「小城(こしろ)さん」とか「小成(おなり)さん」と呼ばれてしまいます。それが面倒なので、そういった場で名前を書くときには「小成」と書かず「山城(やましろ)」と書くことにしているのです。「山城」という苗字はそれほど多くはありませんし、読み間違えられることもありません。呼ばれれば私たちだとわかります。

 そして主人の名前を少し変えて「けんぞう」に。そう、自分の名前をパロディにしてつくった物語なのです。これは子どもたちに大好評でした。

 主人が「山城けんぞう」をやってくれるとなると、「お父さんが昨日の続きを話してくれる!」と言って喜んでベッドに入りました。目をつぶって聞いていると、自分の頭の中に映像が広がっていくようです。「こんな登場人物が出てきたら面白いんじゃない?」と子どもたちからアイデアも出るようになりました。そして主人が疲れて眠いときなどは「今日はおまえがやれ」と言って、子どもたちが話の続きするようになりました。

 これは「よく飽きないな~」と思うぐらい続きました。確か中学生の頃までしていたと思います。自分たち家族しか知らない特別なキャラクターを持つこともちょっと秘密を共有するようで、親子の絆が強まったと思います。

文/小成 富貴子

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