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中国第6世代ホープ失脚の衝撃

7/18(火) 22:50配信

Japan In-depth

【まとめ】 ・中国重慶市党委書記の孫政才氏、突如解任。第6世代のホープ。理由は不明。 ・さらに失脚が進めば習近平氏への権力集中進む。 ・イラクモースルISから奪還、イランの影響力強まる懸念。

薄熙来失脚後、2012年に吉林省党委書記から重慶市党委書記に昇格していた孫政才氏が先週突然解任された。本当か、なぜ彼なのか。孫政才といえば知る人ぞ知る、将来を嘱望された第六世代の逸材だ。本当に彼が失脚したとすれば、さすがは中国だ。やはり党大会の年には「何でもあり」ということか。

孫政才氏は1987年から党の活動に参加、翌年入党。北京市農林科学院大学院修了(作物栽培・耕作学)、農学博士。同科学院研究員、同科学院作物所研究室副主任、同科学院土肥所所長、同所等支部書記、同科学院副院長、同科学院党委員会副書記等を経て、中国共産党順義県委員会副書記に就任している。

その後、順義県副県長、代県長、県長、中国共産党北京市順義区委員会副書記、同区長、同区党委員会書記などを歴任した。2006年12月、第10期全国人民代表大会常務委員会第25回会議で農業部長就任が決定。2009年11月、吉林省党委員会書記に抜擢された。

更に、2012年11月には重慶市党委書記に就任し、当時、内モンゴル自治区党委書記から広東省党委書記となった同い年の胡春華氏とともに第6世代のホ-プとされ、「ポスト習」の有力候補として注目されていた。胡春華氏とは異なり、共産主義青年団出身ではないが、胡錦濤前総書記に近いといわれる。

問題は何故今、パージの対象が孫政才なのかということだ。これまでの経験から、昨日の今日では確度の高い情報は出て来ないだろうが、親族の腐敗などと言い始めたら、それこそ誰が捕まってもおかしくないのが中国だ。やはり、今年10月の党大会での人事の一環なのか。それにしても恐ろしい国である。

〇欧州・ロシア

21日には核問題でイランと主要国との協議がジュネーブで行われる。一方、16日には金融犯罪との関連でイラン大統領の実弟が逮捕された。これがイラン内政の一環であることは間違いないが、イラン大統領再選後、経済制裁をめぐる米国との協議も進んでいない。同大統領の出方にはとても興味がある。

〇東アジア・大洋州

冒頭の中国共産党幹部人事の続きだが、孫氏のライバル胡春華氏は1963年4月生まれ、北京大学卒、湖北省出身の天才児といわれた。2006年まで一貫してチベットに勤務。1997年に共青団書記処書記、2007年に同団第一書記、2009年に河北省長、その後内モンゴル自治区党委書記から広東省党委書記に就任した。

胡氏も胡錦濤の直系といわれるが、彼の方は大丈夫なのか。今後二人とも失脚するなどという事態になれば、習近平氏への権力集中が更に進むだろう。それが本当に中国のためになるのか、正直なところ、筆者には分からない。

〇中東・アフリカ
 
イラクのアバディ首相がIS(イスラム国)の拠点モースルを解放したと10日に表明してから一週間が経った。モースルの奪還は新たな問題を惹起し、特にシーア派ミリシアを支援したイランの影響力が強まることが懸念されている。問題はIS掃討後の米軍の動きだろう。

米軍部隊がイラクを去れば「力の真空」が生まれかねず、逆に残れば再び攻撃の対象となりかねない。どう転んでも、イラクが米国にとって鬼門となることだけは間違いなかろう。

〇南北アメリカ

ロシアゲートの関連で、今度はトランプ氏の実の息子が集中砲火を浴びている。それにしても、このスキャンダルは底なしだ。逆に見れば、これだけ形勢が悪いのに、トランプ陣営は良く頑張っているのかもしれない。しかし、攻撃は最大の防御だ。防御だけで形勢逆転を期待することはできない。

〇インド亜大陸

先週紹介した日米印海軍合同演習は今週も続いている。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

最終更新:7/18(火) 22:50
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