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大統領・社長続々、「仏エリート養成校」の正体

7/18(火) 6:00配信

東洋経済オンライン

 高校卒業後、「将来のために、さらに勉強したい」と思えば、日本では大学に進学するのが普通だろう。ところが、フランスではエリートコースを志望する人は、大学には進まない。

 私がフランスに滞在していたとき、日本とは異なるフランスの進学事情をよく理解しておらず、フランス人の知人を困惑させてしまったことがある。知人宅に招かれ、高校生の息子さんを交えて昼食を取っていたときのことだ。

 「大学ではどんな勉強をするつもりなのですか」と、息子さんに尋ねた。ごく普通の質問をしたつもりだったのに、知人と息子さんは顔を見合わせ、困ったような表情だ。

 しばしの沈黙の後、知人が説明する。

 「フランスには大学以外にグランゼコールという高等教育機関があって、息子はそこを志望しているのです」

■名だたる政治家、経営者が「グランゼコール」出身

 フランスの歴代大統領や企業幹部の多くは、実はこのグランゼコール出身者だ。グランゼコールの定義ははっきりとはしていないが、グランゼコール会議には223校が加盟している。修業年限は通常3年で、少人数教育を特長とする。

 複数のグランゼコールで学ぶエリートも多く、元大統領のジャック・シラク氏とフランソワ・オランド氏や、現大統領のエマニュエル・マクロン氏は、パリ政治学院とENA(国立行政学院)を卒業している。オランド氏は、加えて高等商業専門学校でも学んだ。日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏は理工科学校と国立高等鉱業学校を卒業している。

 グランゼコールに入学するためには、高校卒業後、高校に併設されているプレパ(グランゼコール準備級)に進学する。高校で良い成績を修めなければ希望するプレパには入れないので、猛勉強しているという。おまけに、通っている高校では、毎週土曜日の午前中にテストがあるので、いつも気が抜けない。

 フランスにも塾はあるが、基本的に学習に困難を抱える子ども向けで、日本のように受験対策をする場所ではない。成績優秀な子どもは問題集などを使って、自分で計画的に勉強する。家庭教師を頼む家庭もあるが、知人宅では頼んでいなかった。

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